相馬野馬追、女性騎馬武者の年齢制限議論へ 出場経験者を調査

 相双地方の国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」に出場する女性騎馬武者の年齢制限を巡り、相馬野馬追執行委員会が出場経験のある女性に初めてアンケートを行った結果、半数近くが「年齢にかかわらず出場したい」との意向を示したことが5日、複数の関係者への取材で分かった。女性騎馬武者の出場条件は「未婚の20歳未満」と制限されている。執行委は今後、騎馬会から意見を集め、女性騎馬武者の年齢制限の在り方を議論していく考えだ。

 野馬追に参加する神社や騎馬会でつくる「三社五郷騎馬会長会」が5日、南相馬市で開かれ、執行委が結果を示した。アンケートは6月、過去10年間に出場経験がある中学生以上の女性約90人を対象に行われ、約40人から回答を得た。

 関係者によると、回答者の約8割は年齢制限が見直された場合の出場に前向きな姿勢を見せたという。このうち、半数近くが「年齢にかかわらず出場したい」と答え、「20代まで」が約3割を占めた。

 千年以上の歴史がある相馬野馬追は、地域の平和と安寧を願う神事として継承されてきた。関係者の中には伝統や歴史を重んじ、現状維持を求める意見もあることなどから、執行委は慎重に議論を進める方針だ。

 執行委は4月の総会で、功労者による「相馬野馬追紫会」の委員から女性の年齢制限の引き上げや撤廃の検討を求める意見が出たことを受け、検討材料としてアンケートを実施した。

 年齢制限を巡っては、新型コロナウイルス感染拡大で2年続いた規模縮小により、出場できなかった女性騎馬武者がいたため、2022年に限って未婚の20、21歳を特例で認めた経緯がある。

© 福島民友新聞株式会社