宮島と原爆ドーム 2つの世界遺産を結ぶ航路の乗客大幅増 過去最多28万8000人 2023年度

原爆ドームの近くを航行する観光船

 アクアネット広島(広島市中区)が原爆ドーム(同)と厳島神社(広島県廿日市市)のある宮島を結ぶ世界遺産航路の乗客数が、2023年度に28万8480人と前年度の2・4倍に上り、過去最多となった。二つの世界遺産を舞台に昨年5月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の効果などで、訪日客が大幅に増えたことが後押しになった。

 23年度の内訳は、日本人が14万6144人(50・7%)、外国人が14万2336人(49・3%)。欧米に加え、韓国やインド、メキシコなど幅広い国籍の人が利用した。これまで最多だった19年度と比べると、総数(19万2311人)で1・5倍、外国人(4万8078人)では3・0倍に上った。

 航路は河川と瀬戸内海の片道18キロで、所要時間は45分。料金は大人片道2200円で、通常1日17往復する。05年に定期航路とし、新型コロナウイルス禍前の19年度まで順調に客数を伸ばしていたが、コロナ禍で20、21年度は3万人台、22年度も11万9135人にとどまった。23年度は4年ぶりに最多を更新した。

 24年度は6月まで、23年度よりやや多いペースで推移している。山中敏裕取締役は「サミット効果もあり、訪日客を中心に利用が想定を上回っている。今後もニーズや潮の状況を見ながら、可能な範囲で増便などの対応をしたい」と話している。

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