【すべり止め大学の入学金】「すべり止め」費用が高額に。借りることはできますか?

すべり止め大学に納める納付金の負担は1人当たり10万円前後

日本政策金融公庫が公表している「教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日発表)」によると、子ども1人当たりの大学の入学費用のうち、入学しなかった学校への納付金は10万円前後です。

入学した学校の種別に見ると、国公立大学:10万8000円、私立大学文系:9万9000円、私立大学理系:10万円で、大きな差はありません。ただし、すべり止めの学校数が増えれば、平均よりも必要な費用は多くなるでしょう。

入学しなかった学校に支払った納付金のうち、入学金を除く授業料や諸費用は、入学辞退の手続きをすることで返還されるケースが多い費用です。しかし、大学入試から入学までの出費の多い時期に一時的であっても10万円単位で負担が発生することを、苦しく感じる家庭もあるでしょう。

また、入学しなくてもすでに支払った入学金は返還されないケースが多いため、大学入学時の資金計画に含めておく必要があります。

すべり止め大学への納付金は国の教育ローンで借りられる

すべり止めの大学に支払う納付金は、進学する大学の入学費用と合わせて、国の教育ローンで借り入れができます。

国の教育ローンとは、受験生・学生の保護者を対象に、大学などの入学費用や在学費用を融資する、公的なローン制度です。入学前の時点から、350万円の範囲で、受験費用や入学費用、住居費用など、必要な資金の借り入れができます。

固定金利で返済計画を立てやすく、収入の状況などによっては金利の低減を受けられるのが大きな特徴です。

国の教育ローンは1年を通していつでも申し込みができますが、資金が必要となる時期の2~3ヶ月前には申し込みが必要であることに注意しましょう。

例えば、総合型選抜などで9月に合格発表がある場合、ローンの申し込みは遅くとも7月頃までに済ませる必要があります。大学の入学費用は合否が確定する前でも申し込みができるため、志望校が決まった時点で早めに申し込んでおくと安心です。

また、民間の教育ローンのなかにも、すべり止めの大学の納付金を融資の対象にしているものがあります。商品ごとに利用の可否や借り入れ条件が異なるため、確認のうえで比較検討しましょう。

奨学金ではすべり止め大学の納付金を借りられない

大学進学に必要な費用を借りる手段として、日本学生支援機構の奨学金(以下、奨学金)を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、すべり止めの大学に納入するためのお金は、奨学金では借りられません。

奨学金の制度では、進学前の時点の学生は採用候補者でしかありません。進学後に、進学先の学校で奨学金を受けるための手続きをして初めて、奨学金を受け取れます。

奨学金の初回振り込み時期は、必要書類を不備なく提出してから1~2ヶ月後です。すべり止めに納入する資金だけでなく、進学先に支払う入学金も含めて、入学前に必要となる資金は、奨学金では借りられないのです。

なお、国の教育ローンと奨学金は併用が可能です。すべり止めの納入金を国の教育ローンで借りたから、奨学金は借りられないということにはなりません。

すべり止め大学の納付金も教育ローンで借りられる

すべり止めの大学の納付金も、進学する学校の入学費用と同じように国の教育ローンや一部の民間教育ローンでの借り入れが可能です。資金を用意できなくて困る前に、早めにローンを申し込みましょう。

なお、奨学金ではすべり止めの大学の納付金など入学前の資金は借りられません。受験から入学までに必要な資金は教育ローン、在学時の費用は奨学金と、上手に使い分けるとよいでしょう。

出典

日本政策金融公庫 令和3年度 教育費負担の実態調査結果
日本政策金融公庫 よくあるご質問
内閣府 政府広報オンライン お子さんの進学・在学資金を支援!国の教育ローンをご利用ください
独立行政法人日本学生支援機構 大学等奨学生採用候補者(予約採用)に決定された方へ
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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