ウナギに自分の名前を付けブランド化へ!入社3年目24歳の養鰻場長の野望【静岡発】

シラスウナギの不漁や価格高騰など養鰻業にとって厳しい状況が続く中、子供の頃からの夢だったウナギの養殖の仕事に就いた若者の熱き思いを聞いた。自分の名前を冠したウナギのブランド化に挑む。

浜名湖の名物を守りたい

本格的な夏が近づく中で食べたくなるのがウナギだ。浜名湖の名物としても知られている。
牧野元紀さん、24歳。ウナギの養殖、加工、販売までを行う「浜名湖さんぼし養鰻」で働いている。

入社3年目だが肩書きは養鰻場長。ウナギの養殖は子供の頃からの夢だったそうだ。

そんな牧野さんは「ウナギ養殖の一員として、浜名湖のウナギを守っていければ」と決意も新たに仕事に取り組んでいる。

大学時代はウナギの養殖研究の第一人者である北里大学の千葉洋明 准教授の研究室に所属し水産学などを学んできたこともあり、入社3年目で若くして養鰻池の管理を任された。

地元特産のウナギをたくさんの人に食べてもらおうと毎日、温室の中で汗をかき続けている。

「汗がすごいですね?」と声をかけると牧野さんからは「まだ涼しい方です。夏場は尋常じゃないぐらい汗が出るので。3年目に入ったけど、日々勉強という感じで頑張っています」と返ってきた。

不漁や漁業法改正で価格高騰

一方で、ここ数年はウナギの稚魚であるシラスウナギの資源不足が深刻だ。2024年の水揚げ量は2023年を上回ったものの厳しい状況は変わらない。

さらに漁業法の改正に伴い県外の養鰻業者に販売できるようになった結果、取引価格は1kgあたり255万円になった。2023年の最高値の約1.5倍だ。

牧野さんは「(価格が)今までなかったレベルというのはよく聞きます。どんどん(利益も)右肩下がりで、厳しいのは確か。どん底と言ってもおかしくない」と話す。

シラスウナギの高騰は「浜名湖ウナギ」の衰退につながるのでは…と牧野さんも強い危機感を抱いているようだ。

ウナギの“ブランド化”へ社長も期待

こうした状況の中で、会社として生き残るために牧野さんが考えているのはブランド化だ。

浜名湖さんぼし養鰻・牧野元紀さん
ウナギ養殖を志して好きでやっている人間が育てたウナギ=「牧野ウナギ」みたいな感じで、私が作ったウナギだから食べたい、もう一度食べたいと思ってもらえるウナギを育てていくのを目標にしている

実際にパッケージに5年後の牧野さんをイメージしたイラストが描かれた蒲焼も今後販売する予定で、会社も大きな期待を寄せている。

浜名湖さんぼし養鰻・荒熊豊 社長は「今は単にウナギの蒲焼といっても消費者はついて来ない。生産過程などで『若い人が作っている』と、アピールできるところは強みだと思う」と話してくれた。

「愛情を注げば応えてくれる」

養鰻場長とはいえ、まだ3年目の牧野さん。これからもウナギへの愛情を忘れずに日々仕事に取り組みたいと意気込みを話してくれた。

浜名湖さんぼし養鰻・牧野元紀さん
質の良いウナギを作るには、日々の管理も大事ですが、私はやはり愛情だと。愛情を1匹でも多くのウナギに注いであげる。愛情を持って育てるとウナギも応えてくれると思う。分からない部分もまだあるけれど、勉強しながらいいウナギを1匹でも多く育てて出荷して、おいしいウナギを食べてもらえればと日々奮闘している

ウナギ養殖を取り巻く状況は厳しいが、こうした若者の熱き思いが伝統の「浜名湖ウナギ」を守り育てることにつながっていくことを期待したい。

(テレビ静岡)

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