元SDN48・近藤さや香。シングルマザーで8歳の一人息子を子育て中。ベビーカーで5路線を乗り継いで出勤していたことも【インタビュー】

息子さんとカフェでひと休みする、近藤さや香さん。

元SDN48のメンバーであり、現在はフリーアナウンサーやラジオパーソナリティとして活躍する近藤さや香さん。2024年3月には、エッセイを書き下ろした書籍『しあわせ護心術』を出版しました。プライベートでは、8歳の男の子を育てるシングルマザー。日々の子育てや仕事との両立、週末の息子さんとの過ごしかたを聞きました。
全2回インタビューの2回目です。

シングルで子育てに奮闘、元SDN48・近藤さや香。産後3カ月で決まったラジオパーソナリティの仕事に挑戦を決意。その後、“保活”といういばらの道が待っていた!

頼もしい友人たちの連携プレーで、私の仕事は成り立っている

FMヨコハマ「Lovely Day♡」の生放送風景。

――息子さんとの日々の暮らしについて教えてください。仕事と子育てはどのように両立していますか。

近藤さん(以下、敬称略) 今、息子は小学3年生になりました。毎朝、2人で朝ごはんを食べて、それぞれ身支度をし、息子と一緒に家を出ています。その後に息子のお友だちと合流し、学校と駅の分岐点で「いってらっしゃい」と、息子たちを送り出して仕事場に向かいます。

息子の学校は、登校班というようなものがないので、友だち同士で待ち合わせをして登校するんです。その友だちとその家庭が、「早い時間に登校してもいいよ」と言ってくれたので、ほかの子たちよりも少しだけ早めに登校させています。というのも、月曜から木曜までは、9時からFMヨコハマの番組「Lovely Day♡」を担当しているので、かなり早めにスタジオ入りしなくてはいけないんです。

でも、こうやって今、息子と一緒に家を出ることができるのも、ママ友が協力してくれたり、番組スタッフが入り時間を配慮してくれているおかげなんです。本当に、まわりの人に支えられているのを感じますね。

――毎日、朝から生放送がある生活は大変ですね。急に息子さんが病気になったときなどはどうしているんですか?

近藤 子どもが具合悪くなるときって、当日の朝、急にってことも多いじゃないですか。そうなるともう、「どうしよう!!!」という感じでプチパニック。それで、いつも息子に何かあったらシッターをお願いしている友だちが6人ぐらいいるのですが、彼女たちに片っ端から連絡をして、お願いできる人を探すんです。そうすると、「どうした?」とすぐに反応してくれて、だれかにお願いできたら出勤するという感じです。

これまでにも何度かあったんですが、「10時までは見れるよ」という友だちと、「10時以降なら見れるよ」という2人の友だちが手を挙げてくれて、途中でバトンタッチしてもらう、なんてことも。とにかく、友だちやまわりの人との連携プレーで、私の仕事は成り立っている気がします。

私は、そばにいてくれる友人たちは“一生モノ”だと思っていて、これまで、自分なりに友だちつき合いを深めてきました。そのなかには、子育てが一段落した友だちもいれば、今妊娠中という友だちもいて、こういうピンチのときは、今動ける友だちに助けてもらっています。そして私も、「息子1人いるんだから、2人も3人も変わらないよ!」と伝えて、ときには友だちの子どもを預かっているんです。そうやってお互いに支え合いながら、ピンチを乗りきっています。

かつて、息子が赤ちゃんのころには、一緒にみなとみらいのスタジオまで通勤していたこともありました。保育園に入ることができなくて、スタジオが入っている隣のビルの託児所に預けていたんです。当時は世田谷区に住んでいて、そこからみなとみらいまで、ベビーカーを押しながら5路線を乗り継いで通勤していました。満員電車でベビーカーは絶対に無理!と思ったので、早朝5時台の電車に乗って。ただ、乗り換えのホームにはエレベーターがないところもあって、そこではベビーカーをたたんで息子を抱え、ベビーカーと荷物の両方を持って階段を上る・・・、なんてこともやっていましたね。

今振り返ると、私、よくやっていたな〜なんて思います。

息子さんの成長とともに、「小1の壁」にもぶつかった

息子さんと一緒に、三渓園へお出かけ。

――息子さんが小学校に入学したときは、大変でしたか?

近藤 保育園からがらりと生活スタイルも変わったので、最初は大変でしたね。よく、「小1の壁」なんていわれて、ニュースにも取り上げられていますよね。親にとって、“保育園さまさま”なのは、朝早い時間に子どもを預けることができるから、というのが大きいと思うんです。
小学校は、登校時間を開門時間に合わせないといけないので、仕事をしている親にとっては大問題。子どもたちが校門の前で長く待っていることが問題になったりもしていますよね。その対策のために開門を30分早めたという学校もあるそうですが、そうなると教員の負担が増えるとか、そのために別のスタッフをやとえば違う問題が出てくるとか・・・。

ニュースでは子どもの問題かのように語られていますが、実は、社会が「壁」を作ってしまっているんじゃないの?と思います。登校時間の問題でいえば、学校側だけで対処するんじゃなくて、会社側も変わらないといけないですよね。出勤時間をずらせるようなしくみを作る会社がもっと増えれば、少しずつ解消していくんじゃないでしょうか。

放課後は息子を学童(放課後児童クラブ)に行かせているのですが、私が早く帰れる日は、なるべく家で一緒に過ごすようにしています。それから夏休みもまた、働く親にとっては大変な時期。そこでわが家では、夏休みに1週間ぐらい、遠方に住んでいる両親に息子を預けているんです。そうすると、3週間ぐらいはある夏休みのお弁当作りの期間が、2週間で済むという感じで。それだけでも、私にとってはすごく助かるんですよ。

――いろいろなサポートを受けながら息子さんを育てきたのですね。息子さんは、どんな性格に育っていますか?

近藤 よく、大人の中に混じって話をしたがる子っているじゃないですか。私がまさにそういう子だったんですが、そういうところが私にそっくりなんです。息子も、小さいころから大人の話をよく聞いていて、人がどんなことで笑うのかもよくわかっているから、“おもしろさ”を大事にするんですよね。だから、人を笑わせるのが好きで、とても明るい子に育っていると思います。

あとは、人見知りをまったくしなくて、だれとでもすぐに仲よくなれるようです。人の顔をちゃんと見ることができて、人とのつき合いかたも上手だなと感じています。わが家は、本当にいろいろな人が遊びに来るので、それも息子の性格に影響していると思います。

週末はランチ+図書館が、息子との定番の過ごしかた

息子さんも一緒に、ゲームをしながらの賑やかなパーティー。

――書籍にも書かれていますが、週末には必ず、息子さんと一緒に図書館へ行って本を読むのが習慣だそうですね。

近藤 息子の国語のテストを見ていて、読み取りが苦手そうだなと。それで、活字を読むことって大事だなと思い、一緒に図書館に通うようになりました。土日のどちらかに図書館に行くのが今の2人の週末のルーティンです。そのあとに中華料理屋さんやラーメン屋さんに行ってお昼を食べて帰るのが、最高に楽しい組み合わせなんですよね。

小さいころは図書館で絵本を借りてきて、一緒に読んでいましたが、最近は少し長めの物語も読めるようになってきたので、息子が好きそうな物語を私が何冊か選んであげるんです。図書館には2時間ほどいるのですが、息子はその間、大好きな図鑑をずっと読んでいます。図鑑を借りて帰るのは重くて大変なので、図書館に滞在中に読んでもらうようにしています(笑)

よく行っている図書館は、キッズ向けのフロアは小さい子が遊びまわったりとにぎやかな場所なんですが、ティーンズ向けのフロアになると、ちょっと静かになって、1人で本を読んだり宿題をすることができるんですよね。さらに違うフロアに行くと、大人ばかりでシーンと静かな空間に。そうやって、段階を踏みながら、自分のステージに合った過ごし方ができるのが、図書館の魅力でもありますよね。そのうち、息子も1人で勉強しに行ったりするようになるといいな、と思っています。

図書館以外には、息子が好きな植物園に行くことも。あとは、そのときそのときの季節感を楽しめる場所に行くことも多いですね。桜の時期なら桜がきれいな公園に、夏にはセミがたくさんいる森林公園、紅葉の時期なら、紅葉を見に行ったりもします。

――親子でお気に入りの本や絵本はありますか?

近藤 息子と2人でずっとハマっているのが、落語絵本シリーズです。落語は、私もまったく知らない世界だったので、すごく興味深く読んでいます。落語って、必ず最後にオチがあるので、最後のページをめくって「はははっ」と笑って終われるのも楽しいんです。ときには、オチが難しくてわからないときがあるんですが、そういうときは、2人でネットで調べて、こういう意味だったんだと理解を深めるようにしています。こうやって、息子と共同作業できるところもいいんですよね。

あとは、『みどりいろのたね』(たかどのほうこ作・太田大八絵/福音館書店)という絵本も、私のなかでは印象的。たまたま、図書館で出合った本なんですが、文章を読んでいているとイメージがわきやすいし、楽しいし、おいしそうだしで、おすすめです。

今は、ボタンをポチッとすれば、欲しい本が自宅に届く世の中。でも、本屋や図書館に直接足を運んで、本棚から本を選ぶことも大事だなと思うんです。こうやって探すことで、自分にとって思いがけない本に出合えるのもいいんですよね。

自分が前向きだから、息子も父親がいないことを自然と理解

大きな公園でキャッチボールをする、近藤さんと息子さん。

――離婚を選択したとき、息子さんは何歳でしたか?今は、どんなふうに離婚について伝えているのでしょうか。

近藤 離婚が成立したのは、息子が2歳ぐらいのときです。息子には、あらたまって、離婚のことを話したことはありません。これは、私的にはありがたいなと思うことなんですが、保育園や小学校のお友だちの中には、シングルの家庭ってけっこういるんですよ。それで、お友だち同士のなかでも、「うちはお父さんがいないよ」なんて話をしているようで、息子も自然と受け入れ始めたんだと思います。

でも、息子には、お父さんとはいつでも連絡は取り合えるし、いつでも会えるよと伝えています。

元夫はラジコンがすごく好きな人で、大会に出たりするほどの腕前らしくて。最近息子もラジコンが好きになって、この前「お父さんと連絡を取ってほしい」と言ってきたので、すぐに連絡を取りました。

――シングルになったときに、不安などはありましたか?

近藤 不安は正直なかったです。人とのストレスの原因って、コミュニケーションに関する部分が大きいことが多いですよね。離婚して相手がいなくなったことで、コミュニケーション不足で悩む必要がなくなったので、むしろ、前向きに捉えていたと思います。「どうしてこうしてくれないんだろう」とか「ごはんを作って待っているのに、なんで連絡してくれないの?」とか、そういったイライラはなくなりましたね。子どもと2人のペースで生活できるのもよかったです。

逆に、「ああ、(息子と)2人きりになってよかった」なんて思いながら過ごしていたから、子どもも引け目に感じなかったんじゃないかなと思います。

わが家にはよく友だちが遊びにきますが、そのなかには、私の男友だちもけっこう多いんです。彼らがいつも、息子と体力系の遊びをしてくれるので、息子もそれがすごくうれしいみたいで。「お友だち、今度いつ来るの?」という感じで、いつも楽しみにしています(笑)

お話・写真提供/近藤さや香さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部

シングルマザーとして、8歳の息子さんを育てている近藤さん。ピンチのときは、子育てを助けてくれる仲間たちやママ友、そして番組スタッフなどに助けてもらいながら、毎朝の生放送に臨んでいます。また、離婚したことを自身が悲観せず、前向きに捉えることで、息子さんも自然と受け入れてくれているそうです。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年7月の情報で、現在と異なる場合があります。

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近藤さや香さん

PROFILE
フリーアナウンサー。1984年、愛知県出身。幼少期をアメリカ・ミシガン州で過ごす。2009年から2012年まで、アイドルグループ・SDN48の一期生として活動。2016年より、FMヨコハマ「Lovely Day♡」(月〜木9時〜12時)でラジオパーソナリティを務める一方で、プライベートでは一児の母。

近藤さや香さんのInstagram

『しあわせ護心術 - 助けがたくさん降り注ぐ -』

元アイドル、ラジオパーソナリティ、そしてシングルマザーなど、さまざまな顔をもつ近藤さや香が綴る、オール書き下ろしのエッセイ。毎晩『はぁ、疲れた~』とベッドに横になる時に、適当に開いたページを読んで、ふっと力が抜けてくれるといいなという思いで綴られた70編のエッセイが詰まっている。近藤さや香著/1430円(ワニブックス)

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