「サッカー史に残る過ち」「またあなたか!」スペインDFの“ノーハンド判定”になぜイタリアメディアが猛批判?「PKは明らか」

延長後半にドイツがPKを手にしていたら、結果は違っていたかもしれない。それだけに、アンソニー・テイラー主審の判定は議論を呼んだ。

7月5日に行われたEURO2024準々決勝で、ドイツはスペインに1-2で敗れた。先制を許しながら89分の得点で同点に追いつき、延長戦に持ち込んだものの、終了間際の119分にミケル・メリーノに決勝点を献上。母国での戴冠ならず、ベスト8で姿を消している。

物議を醸したのは、延長後半106分の判定だ。ジャマール・ムシアラがボックス外からミドルシュートを放つと、ボールはマルク・ククレジャの左腕を直撃。ドイツ陣営は抗議するも、テイラー主審はプレーを続けさせ、ボールがタッチを割ってからもそのままスローインで再開された。

問題の場面の前にニクラス・フュルクラクのオフサイド、ないしハンドの疑惑もあるが、いずれにしてもテイラー主審がオンフィールドレビューせずにククレジャのプレーを流したことは騒動となった。イタリアのメディアも同様だ。

テイラー主審は2022-23シーズンのヨーロッパリーグ決勝で、セビージャのハンドによるPKをローマに与えなかったと話題になった。

【画像】イタリアメディアがハンドでPKだと批判している決定的シーン
当時ローマを率いていたジョゼ・モウリーニョ監督が激しく非難し、試合後に駐車場でも罵倒。翌日、空港でローマサポーターがテイラー主審と家族を危険にさらし、大きな騒動となったことは記憶に新しい。

それだけに、ククレジャのハンド疑惑に、イタリア大手紙『Gazztta dello Sport』は「またあなたか!」と、テイラー主審を批判している。

「PKは明らかだった。だが、テイラーにとっては違い、なぜか腕を体につけていたというジェスチャーをしたが、それは存在しない状況だった」

また、『TUTTOmercatoWEB』によると、衛星放送『Sky Sport』のマウリツィオ・コンパニョーニ記者は、PKは明らかだったと指摘。

「プレーの最初にフュルクルクのオフサイドやハンドがあったかどうかを確認しなければいけないだけだ。EL決勝でローマにPKを与えなかったのはとんでもなかったが、今回はもっと深刻なミスである」

「テイラーは醜態をさらした。集中を欠いたのは明らかだ。審判としては受け入れられない。あの位置でこれほど広げた腕が見えないなどあり得ない。フュルクルクが問題なかったら、2010年のバイエルン対フィオレンティーナ戦と並ぶスキャンダラスさだ。欧州、そして世界のサッカー史に残る過ちだろう」

サッカーに判定騒動は尽きない。それはVARが導入されてからも同じだ。テクノロジーでラインを割っていたかどうかを判定するのと違い、主観が入るPKの判定で万人を納得させるのは難しいのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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