祖母が営んでいた駄菓子屋跡地に生まれた「戸田珈琲」は、亡き父が遺した作品と共存する自家焙煎珈琲店【福岡市南区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡にある「昭和レトロを感じられる喫茶店」をご紹介していきたいと思います。

福岡自動車運転免許試験場近くに店を構える戸田珈琲

今回ご紹介する「戸田珈琲」の場所は福岡市南区花畑。「福岡自動車運転免許試験場」から徒歩6分ほどの場所です。

車なら、福岡都市高速の下道から「野間花畑線」を南下し、角にボンラパスがある「試験場南口」交差点を左折します。

しばらく進むと、左手に雑貨屋やカフェなど数軒の個性的なショップが連なる一角があり、その先に看板が見えてきます。お店の向かいには駐車場もあります。

こちらが戸田珈琲の外観。

暖色系のオーニングと筆記体のフォントがなんともレトロな雰囲気を醸し出しています。

側面には「挽きたてのコーヒーの店」と「画廊2F」の文字が。

どんなお店なんだろう?と期待感マシマシです!

エントランスには2台のタバコ自販機も置かれていますが、この自販機は現在稼働しておらずオブジェと化しており、購入はできませんのであしからず。

さて、ドアを開けて入店してみましょう。

かつて駄菓子屋だった建物をリノベーションした店内空間

入店して最初に驚くのが、レトロな外観とは裏腹に店内はかなりスタイリッシュなこと。ベージュ色の壁と深いブラウンのテーブルと椅子で構成されています。

入り口そばには自家焙煎コーヒー豆がズラリと勢揃い。

人気NO.1の「戸田オリジナルブレンド」は、なんと100gで税込485円!

円安で生豆の価格が上昇している現在、500円以下の自家焙煎コーヒー豆は、かなりリーズナブル!

壁面には様々なジャンルの本や雑誌が並びます。その一角ではドリッパーやフィルターなどコーヒーグッズも販売されています。

戸田珈琲には、なんと2階席もあるんです。奥に階段があるので、ここで靴を脱いで2階へと進んでみましょう。

かつての昭和の民家そのままの、細くて長い階段を登ります。

2階は想像以上に広々。間取りは4.5畳が2部屋、6畳が1部屋の合計3部屋15畳がカーテンで仕切られており、かつて住居兼店舗だった当時の面影が残っています。

2階はおもに教室やワークショップ会場として利用されていますが、イベントがない時は一般利用もできますよ。

100冊近くの絵本が完備されているので、お子様連れの利用にもおすすめです。

至る所に店主の亡きお父様・切り絵画家の戸田幸一氏による切り絵作品が展示されています。

作品の購入はできませんが、ポストカードは1枚80円で購入することもできます。

「戸田珈琲」の歴史

ドリップしているのが店主の戸田聡さん。シャイなのでマスク姿でのご出演です。

戸田珈琲の店主は戸田聡さん。地元である南区花畑のご出身です。

戸田さんは高校卒業後、大学進学を機に上京。

しかし、元来のカメラ好きが高じて「カメラに携わる仕事がしたい」と一念発起。大学を中退して専門学校へ進学し、映像制作会社に就職。その後はフリーのテレビカメラマンとして活躍されておられました。

そんな中、お父様の切り絵画家・幸一さんがご病気になり、その介護のために帰福することに。介護と仕事を両立するためには自営業が一番だと考え、自家焙煎珈琲店の開業を決意。そのためにまずは東京のキーコーヒーに3年間勤務し、接客や焙煎の技術を習得されました。

帰福後は、戸田さんの祖母が実家の近所でかつて営んでいた駄菓子屋を取得し、リノベーション。

父・幸一さんの作品が楽しめる画廊を併設した自家焙煎珈琲店として、2009年2月に戸田珈琲を開業。今年で15周年を迎えられました。

元々2階建ての店舗兼住居だったこともあり、お店は広々としていたことから、奥の一角はコーヒーの焙煎工房として活用されています。

フジローヤル製の3kg半熱風式焙煎機。ここで2週間に1回のペースで焙煎作業を行っておられます。

その後、お父様は66歳の若さで他界されましたが、現在もその遺作は店内の至る所で鑑賞することができます。

コーヒー、ランチに軽食まで幅広いラインナップ

それではメニューをご紹介していきましょう。

メインのコーヒーはトラジャ豆を使用した苦味とコクのある「戸田オリジナルブレンド」、口当たりが良く苦味・酸味とも中性的な「マイルドブレンド」、イタリアンブレンドを使用したすっきりとした苦味の「アイス珈琲」など常時7種類が完備され、各税込400円。

そのほか、15種類前後のストレートコーヒー(税込400円〜)も用意されています。

軽食メニューのおすすめ「シナモントースト」は単品で税込450円、ドリンクセットで税込700円。焼きたてのトーストにたっぷりのシナモンシュガーが食欲をそそります。

濃厚でねっとりしたホイップクリームをふんだんに絡めていただきます。ブレンドコーヒーとの相性もぴったりで、小腹が空いた時には満足度の高い一品ですよ!

トーストはシナモンの他にもバタートーストとピーナッツバタートーストの3種類があります。

スイーツメニューの代表格が焼きたてワッフル。

オーダーを受けてから一枚一枚焼き上げるスタイルで、写真の黒蜜きなこをはじめ、ブルーベリー・チョコレート・キャラメルアーモンド・アップルの合計5種類があり、単品で税込500円、ドリンクセットで税込700円より。味はもちろん、コスパも良い一品です。

さらに、毎日11:30〜15:30にはお得なランチセットが登場!

エビピラフ・高菜ピラフ・ドライカレー・チキンライス・ナポリタンといった古き良き喫茶店フードが、スープ&ミニサラダ&セットドリンク付きでなんとびっくりの税込750円均一!

この時代にこの価格、もはや感謝しかありません!!

「戸田珈琲」は分煙店舗。1階は喫煙OKです!

今回ご紹介した戸田珈琲は分煙店舗となっており、1階は喫煙OK、2階は禁煙となっています。

1階と2階はドアで区切られているので、愛煙家の方はぜひ1階でコーヒーとタバコをゆっくりと楽しんでくださいね。

最後にどんなお客さんが来店されるかを尋ねてみたところ、近隣にお住まいの方はもちろん、絵本が豊富なのでお子様連れの方や、近くに自動車免許試験場や自動車学校があることから、若い方の来店も比較的多いとのこと。まさに老若男女が来店しているといった印象でした。

亡き父が遺した作品と共存する自家焙煎珈琲店「戸田珈琲」。近くに行かれた際には、美味しいコーヒーと素晴らしい切り絵作品の数々をぜひ堪能してみてくださいね。

戸田珈琲

住所:福岡市南区花畑2-20-22

電話番号:092-566-2109

営業時間:10:00~19:30

定休日:月曜日

喫煙:1階のみ喫煙OK

駐車場:2台有り

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