松下信治の交代経緯をTGM Grand Prix池田和広代表が説明。第4戦に向け「外国人ドライバーと交渉中」

 2024年シーズン2回目となる全日本スーパーフォーミュラ選手権公式テストを前に、ドライバーの顔ぶれを入れ替えたTGM Grand Prix。53号車は変わらずJuju(野田樹潤)のままではあるが、55号車に松下信治の名前はなく、大津弘樹と大草りきがテストを担当することになる。

 一連の変更に対する経緯と第4戦へのドライバー起用について、同チームの池田和広代表がテスト前日のメディアセッションで詳細を明らかにした。

 当初、TGM Grand Prixの55号車はラウル・ハイマンを開幕前テストで起用し、レギュラー参戦に対する交渉を進めていたが、ハイマン側が交渉していたスポンサーから良い返事を得られないままタイムリミットを迎えてしまった。そこで松下に55号車ドライバーの話が舞い込み、急きょ参戦が決まった。

 改めて、開幕までの経緯について「松下選手はB-Max Racing Teamで長年乗っていましたが、今年は木村(偉織)選手に代わったことで乗るチームがなくなり、TGM Grand Prixとしても直前まで外国人選手と交渉していましたけど、そのドライバーが参戦できる可能性がなくなってしまいました。『では55号車をどうするか?』というところで……誰も乗せないわけにはいかない。それであれば、自分がその段階まで集めたスポンサーさんの資金で走らせ、そこで結果を出して後半戦の営業(スポンサー獲得)につなげたいという想いがありました」と池田代表。

「そこで(55号車に乗せるドライバーは)誰だろう? と思ったときに、実績もそうですし、即戦力として乗っていたという経験がある松下選手に声をかけさせていただきました。『私は全戦いけるようにスポンサー活動はするけど、(全戦の)参戦までは約束できない』というところで合意したという経緯があります」と、ここまでの状況を丁寧に説明した。

 松下も7月4日に、自身の公式Xでコメントを発表し「開幕した段階から、この日が来るのを覚悟していました」と綴っており、第3戦を終えた段階がひとつの区切りになる可能性があるということは、双方で納得していた様子だ。

 池田代表も「彼のSNSのコメントを見ても分かるとおり、彼と揉めているなど、そういった内容はないと思っています」と付け加えた。

 そうなると注目が集まるのは“第4戦以降の55号車ドライバー”についてだ。今回の富士テストには1日目に大津弘樹、2日目に大草りきがテストを担当するが、「今回がオーディションというわけではない」と話すとともに、新しいドライバーと交渉中であることを明かした。

「現在、外国人ドライバーと外国スポンサーと交渉をしています。まだ決まるかどうかも分からないですし、どのくらいの確率になるのかも怪しいところではあります」と池田代表。ちなみに、交渉中のドライバーはスーパーフォーミュラの経験がないとのことだ。

 ただ、現段階で交渉がうまくいくかどうかは未知数なところではあるものの、池田代表は「私はスーパーフォーミュラに参戦している部分に対しては、JRP(日本レースプロモーション)さんとの契約をはじめ、エンジン契約やクルマのリース契約など、いろいろなものが契約として縛られているという責任がありますので、何があろうが続ける義務があると思っています」と、第4戦以降も55号車は走らせる意向はあるという。

 また、今回のテスト初日にドライブ予定の大津は「クルマのパフォーマンスをチーム全体として改善したいという思いがあるということを池田さんから聞き、僕も昨年のテストと第6戦富士(7月開催)のレースも走っており、クルマのパフォーマンスや当時のバランスをしっかりと覚えているのでテストで乗らさせてもらうことになりました。日曜日の2セッションのなかでクルマのパフォーマンスを上げられるように、自分の持てるものをフィードバックして貢献できたらなと思います」とコメント。

 2日目を担当する予定の大草も「経緯というと堅苦しい感じになるのですけど……普段から池田さんと仲良くさせてもらっているなかで、とりあえず会うたびに毎回『(スーパーフォーミュラに)乗りたい!』と言い続けて、やっとチャンスをいただけました。僕は大津選手が乗ったクルマで2日目に走らせてもらいますけど、しっかりクルマと仲良くして走れればなと思っています」とテストに向けた抱負を語った。

2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGOまでは松下信治がドライブしたTGM Grand Prixの55号車

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