身に覚えのない”当選通知”相次ぐ…名古屋市「プレミアム商品券」なぜ?原因わからず市は”お手上げ”状態

名古屋市で6月から利用開始した「プレミアム商品券」。応募者が多かったため抽選販売となりましたが、その当選通知を受け取った市民から「身に覚えが無い」などの問い合わせが市に相次ぎました。

30%の”プレミアム”付き お得な商品券

なぜ「身に覚えのない当選通知」が届いてしまったのか。原因がわからず、名古屋市の担当者も首をひねります。 1口1万円で1万3000円分の買い物ができる、名古屋市の「プレミアム商品券」。物価上昇などで厳しい状況が続く地域経済の活性化を図るために販売され、今年度は紙と電子の商品券、あわせて325億円分が発行されました。 1人5口まで購入できるため、最大で「1万5000円分」がお得に。名古屋市内1万店舗以上で使える利用のしやすさからも、申し込みを希望する市民は多く、「抽選販売」になりました。 今年は約85万件の申し込みに対し、当選は約51万件と倍率は1.6倍あまりに。当選者には6月18日からそれぞれに通知が送られたということですが…。

「電話番号が」「アドレスが」「宛名が」違う…トラブル相次ぐ

「当選通知が届いたのに購入できなかった」。こう語るのは、名古屋市内に住む50代の女性です。電子商品券を5口申し込み、その後、当選通知が届きました。 インターネットの専用ページに接続し、購入の手続きを進めたところ、申し込み時に登録された携帯番号とアドレスが今回入力されたものと違うと注意書きが出たため、購入することができなかったといいます。 女性は名古屋市に相談しましたが、4日時点でまだ商品券を購入できていません。 自分の名前・住所に届いた通知にも関わらず、見ず知らずの携帯番号とメールアドレスが登録されていたという事態に、女性は「個人情報なので、どこからか漏洩しているのではないかと不安で気持ち悪い」と話しました。 こうした相談は名古屋市に相次いで寄せられています。市によりますと、同様の相談が6月30日までに約110件あったということです。中には、すでに亡くなっている親族の名前や、旧姓が記載された当選通知が届いたケースも確認されました。

過去最多の相談件数も…原因は「謎」

名古屋市の「プレミアム商品券」の抽選は、申し込みから、抽選、当選の通知まですべてシステム化されています。 システムの不具合はこれまでのところ報告されておらず、また、市から個人情報の漏洩も確認されていないということです。 ではなぜ、「本人がまったく知らないメールアドレス」が使われ、申し込みされているのでしょうか? 第三者が、プレミアム商品券を手に入れるために他人の氏名や住所をかたり、別のメールアドレスを登録して申し込んだ可能性も考えられますが、仮に当選しても、当選通知は登録された住所にはがきで届くため、第三者が不正に商品券を手に入れることはできません。 市の担当者は、”仮の話”だとしたうえで、「悪意をもって制限の5口以上を申し込んだ人物がいるとしたら、メールアドレスに当選通知が来ると勘違いしていたのではないか」と指摘します。 2015年に商品券事業が始まって以来、これほどまでに相談が寄せられるのは「初めて」だという異例の事態。 市は、寄せられた相談内容の詳細を確認していますが、担当者は「原因の特定に繋がるような情報が無いと先に進めない状態」と対応に苦慮しています。 原因究明のためには、当選した約51万件の大量の情報を1つ1つ精査するしかなく、今後、その調査結果を公表できるかどうかについても、めどがたっていないといいます。

過去には不正も…「プレミアム商品券」事業 来年の実施は未定

名古屋市の商品券事業をめぐっては、2022年、架空の名義を使って不正に購入していた人物がいたことが明らかになり、市が返還請求を行ったこともあります。 今回、不正が強く疑われる申し込みは、住所録を確認するなどの対策を行っていました。 来年度の「プレミアム商品券」については、発行するかどうかは未定としていますが、市の担当者は「事業を実施する場合は対策を立てなければならないと考えている」としています。 一方で、本人確認を強化とすると、申し込みから当選通知の発送まで「約1カ月」という現在のスケジュールでは行えないということです。 プレミアム商品券の「当選通知」をもとに、購入手続きができるのは7月9日までです。 名古屋市は、通知が届いたにも関わらず、購入できなかった人は、期限前にコールセンターに連絡してほしいとしています。 「名古屋プレミアム付き商品券事業 市民向けコールセンター」 052-562-0150 受付時間 8:45~18:00(土日祝含む) (メ~テレ行政担当記者 真野恭光)

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