山下美月、乃木坂46卒業後の心境や今後の展望を語る 「“人間力”を身につけたい」

5月11日、12日に東京ドームで行われた『乃木坂46 山下美月 卒業コンサート』をもって約8年間在籍した乃木坂46を卒業した山下美月。そんな山下が、7月7日より放送がスタートする『降り積もれ孤独な死よ』で、乃木坂46卒業後ドラマ初出演を果たす。物語の鍵となる「事件」の真相を追う出版社の記者・森燈子を演じる山下に、乃木坂46卒業後の心境や卒業後初のドラマ出演について話を聞いた。

ーー本作が乃木坂46卒業後初のドラマ出演となりますが、情報が発表された際はものすごい反響がありましたね。

山下美月(以下、山下):私自身もビックリしました。グループを卒業してから初めていただいた機会で、「忘れられていたらどうしよう」と思っていたのですが、みなさんにすごく喜んでいただけて本当に嬉しいです。

ーー卒業コンサートから約1カ月半が経ちましたが、現在の心境はいかがですか?

山下:卒業した実感はありますが、まだちょっとフワフワしています(笑)。ライブの情報や歌番組、SNSなどで乃木坂46のことを客観的に目にするのがものすごく不思議な感じです。ただ、寂しいという感情はあまりなくて。これからも乃木坂を応援したいですし、自分は自分でちゃんと生きていかなければならないなと思っています。卒業直後と比べると、気持ち的にはちょっと軽くなったかもしれません。

ーー約8年間在籍したグループから離れると、いままで感じたことのない感情にもなりそうです。

山下:「もう新曲作ってるのかな?」とか「次はどんな曲なんだろう」とか、きっとファンのみなさんと同じ感覚なんですよね。一緒に頑張ってきた仲間たちなので、客観的に見られるのも楽しいです。卒業してから改めてアイドルって素敵なお仕事だなと思いましたし、後輩たちのためにも自分がきちんと道を作りたいなという気持ちも芽生えてきました。

ーー公式サイトやX(旧Twitter)も開設されて、ここから本格的に活動を再開されるわけですね。

山下:ちょっとお休みをいただいて、自分としても充電できたので、ここから改めてお仕事を頑張っていきたいなという気持ちです。

ーー5月に開催された卒業コンサートでは「これから少しお休みをいただく」という話をされていましたが、本当に「少し」でしたね。

山下:そうですね(笑)。1カ月ちょっとでしたが、友達と海外に行ったりもしました。でもそれ以外は、基本的に家で1日中ダラダラ過ごすことが多かったかもしれません。それまでは休みの日は外に出るタイプだったんですけど、朝から晩まで家で映画を観続けてそのまま寝る、みたいな生活ばかり送っていて。怠惰な生活になってしまいました(笑)。

ーーそこからまた忙しい生活に戻るのは大変では?

山下:それが全然そんなことないんです。こういったタイミングでドラマのお話をいただけたのがすごく嬉しくて。撮影に入るのが楽しみでしたし、ファンの方々も喜んでくださっているのを実感できたので。

ーー今回の『降り積もれ孤独な死よ』で山下さんが演じるのは、1人の少女が失踪した事件を追いかけている出版社の記者・森燈子です。いままで山下さんが演じられてきた、どこかに“かわいらしさ”がある役と異なるような役どころですね。

山下:たしかにいままでは明るいキャラだったりハツラツとした役をいただくことが多かったですね。真面目な役、淡々としゃべるような役はあまり経験がないので、自分でもいろいろと試行錯誤しながら撮影に臨んでいます。

ーー普段は“取材される側”だと思いますが、“取材する側”の立場になってみて、なにか感じることはありますか?

山下:自分の足でいろんな現場に行ったり、いろんな人のお話を聞いたりして、自分ですべてのきっかけをつくって追いかけていくんですよね。実際に演じていて、ものすごく責任感のあるお仕事だなと感じますし、まっすぐさや熱量がないと絶対に務まらないお仕事だなと思いました。そういった彼女の“正義感”が、映像を通してみなさんに伝わるように意識したいです。

ーー山下さん自身と重なるところはありますか?

山下:雰囲気とかは全然違うんですけど、芯を持ってまっすぐに生きているところは重なるのかなと思います。私自身、周りに流されてしまうときもあるのですが、基本的に自分の信念を大事にしながら生きているので、そこは共通している部分だと思います。

ーーグループ卒業後のこれからは、より「信念」が重要になってきそうです。ちなみに、肩書きはどうなっていくんですか?

山下:えー、なんですかね? タレント……!?(笑)

ーーまさかの?(笑)

山下:(笑)。「役者」と言えるように頑張りたいです。

ーーグループに在籍しながらの役者業と、独り立ちしてからの役者業はやはり感覚的には違うものですか?

山下:一番大きいのはスケジュール面です。もちろんいままでもしっかり向き合ってきたつもりではいるのですが、これまではグループ活動と並行していたので、ひとつの作品にかけられる時間が多くなったという意味では、少し肩の荷が下りたところはあると思います。一方で、いままではグループが帰る場所としての“ホーム”で、その安心感がすごくあったので、それがなくなったいま、ちゃんと自分の足で道を切り開いていかなければならない責任を感じています。まだ始まったばかりですが、いまはとても楽しく過ごさせていただいているので、いま目の前にあることを頑張って、前向きに進んでいきたいなと思っています。

ーー今後、具体的になにかやってみたいことはありますか?

山下:まだ具体的には考えていないのですが、新たなスタートを切って、何もかも新しいことばかりなので、小学1年生の気持ちで、いろんなことをイチから学んでいきたいです。お芝居に関しても、たくさん現場を経験して、いろんな役をやっていきたいですし、もうすぐ25歳になるので、人間としても成長していきたいです。“人間力”を身につけたいですね。

(取材・文=宮川翔)

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