“トキエア”度重なる就航延期で約3億円の赤字も…今後はチャーター便の運航など計画「確実に一歩一歩」【新潟発】

新潟空港を拠点とする地域航空会社トキエアが6月26日、定期便就航後初となる株主総会を開いた。2023年度の決算で約3億円の赤字を報告したトキエア。一方、チャーター便の運航など、今後の計画も明らかに。2024年度は経営手腕の問われる年度になりそうだ。

就航達成!県内初開催の株主総会

26日の新潟空港に集まってきたのはトキエアの株主。

2020年に誕生したトキエアは、これまでの株主総会を主にオンラインで行っていたが、今年は初めて県内で開いた。

その背景には、今年1月に新潟~札幌丘珠線を、今年4月に新潟~仙台線を就航させたことがある。

長谷川政樹社長は「就航という大きな目標にまずは到達することができた」と話し、株主の支援に感謝した。

決算は3億円赤字…就航延期の影響も

一方、課題は山積みだ。

株主総会は非公開で行われたが、2023年度の決算が報告され、売上高は約6000万円に。

会社設立の初年度を含め、これまでの3期は売り上げのない状況が続いていたが、今年1月に初の定期便・札幌丘珠線の就航を果たしたことなどから、ようやく売上高を計上した。

ただ、これは“計画通り”ということではない。

札幌丘珠線については、当初2022年度中の就航を目指していたが、国へ空港運送事業許可を申請する際には「2023年6月末」を就航予定として設定。

しかし、国の審査の遅れで度重なる延期を繰り返し、最終的に就航できたのは、最初に設定した予定から半年以上経った今年1月末だった。

このため収益は伸びず、経常損失は約3億1600万円に。当初、長谷川社長は2024年度の黒字化を目指していたが、就航延期を受けて2025年度に修正している。

しかし、「いまの状況では、それも厳しいのではないか」と関係者は話す。株主総会では、こうした決算のほか、新たな社外取締役の選任などが承認された。

黒字化を果たすためのカギは…

黒字化を果たすカギの一つとなるのが、路線の拡大だ。

今後、中部線(愛知)、神戸線、佐渡線の就航を進めていくと公言してきたトキエア。このうち、中部線については、今年9月前後の就航を目指し、1日2往復とする考えで調整している。

一方、今後の展開について、株主総会で長谷川社長は定期路線以外の事業についても言及。

「定期航空運送のみならず、“不定期”の航空運送事業ならびに航空機“使用”事業も行っていく予定だ」

不定期の航空運送事業とは、いわゆるチャーター便のこと。定期路線の就航を実現したことで、こうした話も入るようになったという。

また、航空機使用事業というのは、貨物の運送だ。

トキエアの機体は、座席の一部をコンテナに換えることができ、長谷川社長は以前から、旅客と貨物の“W輸送”の構想を掲げている。

事業化を目指して、これまでに民間の運送事業会社や農産物などを取り扱うJA佐渡と協定を結んできた。こうした事業の拡大も、今後の黒字化のカギを握ることになる。

株主総会後、長谷川社長は「路線の拡大もそうだが、さらに今は貨物とかチャーターとか、(飛行機が)飛び始めるとこういった話もいただいている。プラスαの要素としてトキエアを強くしていきたい」と話した。

経営手腕問われる年度に

就航を果たしてから約5カ月。今年7月には、札幌丘珠線と仙台線の毎日運航も始める予定だ。

一方、搭乗率にはまだ波があるのも事実で、さらに知名度の拡大を図る必要がある。

また、新たな融資などによる運営資金の確保に加え、エネルギー価格の上昇といった経済環境の変化も今後の課題となる。

長谷川社長は「確実に一歩一歩進んでいる。大きく飛躍するというところはないが、ただ確実に安全運航を中心に路線の数も増やしている。こういったところで皆様から引き続きご支援をお願いしたい」と呼びかけた。

“飛んでいないから”と言い訳はできない、今年度の経営手腕が問われている。

(NST新潟総合テレビ)

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