平和の尊さ感じて 実物資料展示 空襲の怖さ改めて 上越市で「平和展」

日本の木造家屋を焼き払うため大量に投下された焼夷弾。平田さんは小弾の一つを手に、仕組みを解説した

太平洋戦争の記憶を現在に伝え、平和の尊さを知らせる「平和展」が6日、上越市立高田図書館内の小川未明文学館で始まった。8月16日まで(休館日あり)。時間は午前10時から午後6時(8月16日は同3時)まで。

「空襲」をテーマにした展示では、当時の米軍爆撃機B―29の模型や焼夷(しょうい)弾の子弾(こだん、しだん)、化学物質を使った攻撃に備えるため製作された防毒マスクなどが展示されている。展示品は板倉区の平田真義さん(72)の所蔵品。平田さんは戦争の記憶が散逸しないよう、自身で収集活動を続けている。

6日は資料解説を引き受け、集まった人たちに焼夷弾の仕組みや米軍が新潟市、上越市高田も大規模空襲の候補に挙げていたことを解説した。

上越市内の中学校に通う1年の男子生徒は「旧日本軍と米軍の飛行機のプロペラが全く違う。ガスマスクは被害を軽減するためのものだと思うが、夏はすごく暑かったと思う」と話し、当時の暮らしに思いをはせていた。

1945年の太平洋戦争終結から今年で79年が経過し、戦争を体験した人は全国的に少数となった。市多文化共生課の岩崎一彦課長は「ロシアとウクライナ、中東情勢にみられるように、世界では戦争のある現実と向き合う覚悟が問われている。展示を通して戦争のつらさ、平和の尊さを感じてほしい」と述べた。

B―29の模型を展示し解説する平田さん

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