高山植物の花が咲き始めた北海道、大雪山へ「お花目当てなら早めの山行を」

大雪山旭岳の裾野に広がるチングルマの大群落。2023年7月8日(撮影:藤川健)

今年は例年以上に山の雪解けが早い。それに伴って、山の上で咲き乱れる高山植物の花々もすでに見頃を迎えつつある。そんな高山植物を山に登って見る魅力とは。

■高山植物の花は、山に登って見るからこそ価値がある

高山植物は、山の上の過酷な気象条件のなかでたくましく生きる植物。それ故に、低地で育つ植物とは異なる品種だ。高い山では冬から春にかけて長い間雪に覆われ、その下でじっと春の訪れを待つ。そして、雪解けが進むと短い夏を待ちわびたように、色とりどりの花々が一気に咲き乱れる。特に高所に咲く花は短い夏に確実に虫に見つけてもらい受粉をするために、特に鮮やかな花を咲かせるものが多いのも特徴だろう。

山に登るからこそ見ることができる、天上の花々の世界。それが、高山植物の大きな魅力だ。

■登山の疲れを癒やしてくれる花々

キツい登山道を登ったあとに待っているきれいな花々は、登山の楽しみのひとつだ。時には足を止め、ゆっくり花々を眺めながら山の上のひとときを過ごす。感動するような大群落も良いが、ひっそりとたたずむ可憐な花も美しい。色々な花を探しながら歩いて行けば、山頂までの道のりも楽しいものになる。

■花が咲く期間は短い、しかし高山植物は咲き続ける。その訳は?

岩肌にも根を張り成長していくイワウメの花(2024年6月30日撮影)

一般的に花の寿命は短い。ひとつの花がきれいに咲いていられる期間はせいぜい一週間ほどだろう。では、山の上で見る高山植物の花のタイミングもそんなに短いかというと、そんなことはない。雪解けと共に花が咲く春の高山植物は、雪解けに合わせて山の裾野から徐々に咲いていく。

大きな山では雪の後退と共に、順次花が咲いていくので、1か月くらいはきれいな見頃の花を見ることができるのだ。さらに、高山植物の花は春だけではなく、夏や秋に咲く花もある。早い時期に春の花が咲いた場所では、続いて夏の花が咲き始める。

■気になる今年の花の見頃は?

北海道の場合、例年であれば大雪エリアではこれから高山植物の花シーズンが始まる。しかし、今年は雪解けが早いため、すでに見頃を迎えつつある。これから1か月間ほどが花の見頃となるだろう。日本一と行っても過言ではない、旭岳の裾野に広がるチングルマの大群落はまだピークではないが、徐々に開花が進んでいるそうだ。

通常、7月中旬からが花のピークになるのだが、今年は幾分早くピークを迎えそうだ。お花見登山が目的であれば、早めに予定した方が良さそうだ。

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