「絶望的に不味い」「これ好きだな」評価真っ二つの『FRISKドリンク』開発の意外な裏側を担当者に聞いた

消費者からはさまざまな評価の『FRISK SPARKLING』 ※画像はダイドー広報チームの公式X『@DyDo_official』より

「マズい」「美味しい」と飲んだ人の間で意見が真っ二つに分かれ、SNS上を賑わせているのは飲料メーカー・ダイドードリンコ株式会社(以下・ダイドー)の新商品『FRISK SPARKLING(フリスク スパークリング)』(197円・税込み)だ。

ダイドーが清涼菓子である『FRISK』とのコラボにより、“飲む『FRISK』を実現させたこちらの商品だが、5月28日に市場へと登場するや、X(旧ツイッター)上では大きな評判となり、《これ好きだな》《飲んで後悔した》とその感想は両極端に分かれている。

「『FRISK SPARKLING』は、“ストレス・疲労ケア”を標榜。消費者ニーズに応えるため、ダイドーがリフレッシュイメージの高い『FRISK』ブランドとコラボしドリンクとして打ち出したそうです。ストレスや疲労感を軽減する効果があるとされ注目されているGABAを配合しており、味については“フリスクタブレットをイメージした爽やかな味わい”を売りにしています」(トレンド誌ライター)

タブレットから毎度『FRISK』を取り出して食べるのではなく、ドリンクで摂取するという新発想。飲んだ人からは《喉がスースーする》《カフェインゼロだけど目が覚める》《とんでもない冷涼感が喉から食道にかけて超残る》など新しい体験に驚く声や、《酷暑の汗だくの身体には爽快》《フリスクドリンク最高》とドハマリする評価も。

また味については《なんとも言えない味してる……》《まずくて美味しい…》と言語化に困る人もいるほか、《喉に残る清涼感はめちゃくちゃ好き でも味が絶望的に不味い!》と感情の持って行き場に困る人も……。また「マズい」と商品を酷評する人の中には、《本当にめちゃくちゃマズいから飲んでみて欲しい》《絶妙に人に勧めたくなるマズさ》《一生に一回くらいこの体験はしておいた方が良い》などとその味を共有したくてたまらないといった反応を示す人も多く、商品に関する話題は拡散を続けている。

なかには《まだこんな挑戦とも取れるジュースが出てくるんだと少し感動した》《おもしろドリンクとして100点かもしれない...》《間違いなくドリンク史に残るブッとび品》と、チャレンジングな商品を投入するダイドーの姿勢を評価する声も少なくない。

喧々諤々の味を含めて、競争が熾烈な飲料業界のなかでこれだけ注目されれば大成功といえそうだが、ダイドーは消費者から集まった“賛否”の声をどう捉えているのか。気になる開発の背景を探るべく、弊サイトはダイドーを直撃した。取材に応えてくれたのは同社でマーケティング部部長を務める坂本大介さんだ。

■なぜ「FRISKドリンク」を開発しようと思ったのか

自販機でも売られている『FRISK SPARKLING』  撮影/編集部

ダイドー・マーケティング部部長の坂本さんによれば、SNS上で賛否を呼ぶ『FRISK SPARKLING』は“FRISKありき”で開発された商品ではないのだという。構想が立ち上がったのは3年前、まだコロナ禍のことだった。

「コロナ禍の生活はもちろん、コロナ禍が開けた後のことを考えても、今後ますます“心身のケア”が大切になってくるだろうという予測がありました。そうしたとき、飲料がもっともっと社会に役立てることはないかと。飲んだ人の気分転換、気持ちを切り替えて前に進んでいくような役割が果たせる飲料ができないかなという発想で、研究・開発をスタートさせました」(坂本さん)

そこで、“爽やかで、リフレッシュできる商品”として企画されたのが、ミント系のドリンクだ。ただし、単なるミントフレーバーでは物足りない。欲しかったのは、わかりやすくリフレッシュのきっかけになるような体験で、“刺激”と“おいしさ”とのバランスを追求したという。

「試行錯誤を繰り返し、社内的に刺激とおいしさのいいバランスができてきたとなった時に、この商品をより分かりやすく伝えるためには、どこかとコラボレーションする選択肢もあるんじゃないかという案が浮上しました。そしてリフレッシュと、清涼感、刺激といったこの飲料のコンセプトにぴったりだなと思ったコラボ相手が、『FRISK』ブランドだったというわけです」(前同)

“SHARPENS YOU UP”(あなたを冴えさせる)をキャッチコピーに、ミント系の刺激が根強い人気を誇るタブレット菓子である『FRISK』。ダイドーは『FRISK』を展開するペルフェティ・ファン・メレ社に自社開発したミント系飲料を持ち込み、『FRISK』ブランドとコラボできないかという構想をプレゼンした。つまり、ほぼほぼ中身ができあがってから『FRISK』に話をしたという流れであり、先にドリンクで『FRISK』を再現しようと思っていたわけではないというのだ。

■SNS上の反応については

いきなりダイドーからコラボドリンクを打診された『FRISK』ブランド側の反応は、どうだったのか。

「サンプルを飲んでいただいた時に、あまりにもFRISKのイメージに近いということで驚かれていました。味を評価していただけて、一気に前向きな話に進んでいきましたね」(前出のダイドー・マーケティング部部長の坂本さん)

FRISK側からは、当初から“太鼓判”だったが、甘さや酸味、香りなど、商品の完成度を高めていく過程で、苦心したのは「インパクトだけの『FRISK』ブランドのおもしろ商品」で終わらせないことだったという。

「一口飲んだ時の刺激や驚きを大切にしつつ、それだけで終わってしまうといけない。とはいえ、無難な美味しさでは印象に残らないし、『FRISK』ブランドとのイメージにも合わない。もちろんそもそもが“万人受け”しない商品ではあるのですが、一定の人にちゃんと飲んでいただけるニーズにハマるような美味しさのバランスをとるのがすごく難しかったですね」(前同)

ところで、「マズい」「美味しい」と飲んだ人の間で意見が割れている、SNS上の反応についてはどう捉えているのか。

「好き嫌いは分かれる商品だろうなと思っていたので、想定外に多くの人に興味を持って、拡散していただけているのは、ありがたいなと思っています。いろんな感想があるかなと思いますが、“手放せない”とか“クセになる”といったお声を見ると、届く人には届いているのかなと。ニーズのある方に、ずっと愛される商品として育てていきたいと思っています」(同)

ストレスや疲労感緩和をコンセプトにしているが、喉越しの冷涼感から暑い夏にもピッタリな同商品。これまで気分転換のドリンクといえばカフェインやエナジードリンクがあるが、“瞬間リフレッシュ”という新しいカテゴリで、販売状況は「非常に好調」だという。

なお限定商品ではなく、むしろ販売網を自販機からコンビニ、スーパーと徐々に拡大しているところだという。カフェインゼロ、糖類ゼロの低カロリーで一気にリフレッシュできる新感覚ドリンク、飲む時はキンキンに冷やして、ぜひ喉を駆け抜ける冷涼感を味わうのが良さそうだ。

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