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平安時代初期に弘法大師空海が開創した「高野山」は、和歌山県の標高約1,000m級の山々に囲まれた、真言密教の聖地である。
その高野山を擁する「紀伊山地の霊場と参詣道」が2024年7月7日、世界遺産登録20周年を迎える。今回は人々を魅了して止まない、高野山のおすすめのスポットや宿坊体験の様子を紹介する。
■信仰の中心地といわれる「奥之院」
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高野山で外せない見どころといえば、弘法大師を祀る御廟(ごびょう)がある「奥之院(おくのいん)」だ。
杉の木に覆われた約2kmの参道には、およそ20万基の墓石などが並び、神聖な空気を感じる。織田信長や武田信玄といった戦国武将の供養塔もあり、歴史好きにはたまらない。
参道の最後にある御廟橋(ごびょうばし)より先は霊域に入る。ここから写真や動画の撮影は禁止だ。御廟橋を渡った先の燈籠堂には多くの献灯があり、堂内正面には2つの「消えずの火」が1000年以上絶えることなく灯り続けているという。
祈親上人(きしんしょうにん)が献じた祈親灯(きしんとう)と、白河上皇が献じた白河灯(しらかわとう)である。仄暗いお堂の中で、数多の燈籠の明かりが並ぶ光景は幻想的で思わず息を呑む美しさだ。
御廟では弘法大師が人々の幸せを願い、今も瞑想を続けているといわれる。そのため、毎朝6時と10時30分の2回、弘法大師のために食事を運ぶ「生身供(しょうじんぐ)」という儀式が続けられている。
筆者は10時30分の生身供に立ち会ったが、儀式が約1200年間欠かさず続くことに驚き、弘法大師の偉大さに思いを馳せた。
なお、僧侶が案内する「奥之院ナイトツアー」では、夜の参道を歩く体験ができる。昼間とは違う奥之院を見られるのでおすすめだ。
また、奥之院を含む8か所で、7月7日から世界遺産登録20周年記念特別御朱印が2,000枚限定で登場する。高野山では記念イベントも多数あるので、ぜひチェックしてほしい。
●高野山 奥之院
住所 〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町高野山550
電話 0736-56-2002(御供所:5月~10月 8:00~17:00、11月~4月 8:30~16:30)
●奥之院ナイトツアー
電話 0736-26-7311
■お土産におすすめ! 絶品・胡麻豆腐
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「濱田屋」は明治時代の開業以来続く、老舗の胡麻豆腐店だ。皮を丁寧にむいた白胡麻、吉野本葛100%、井戸から汲み上げた高野霊水だけでつくる胡麻豆腐は、雑味のない濃厚な胡麻の味わいと、もっちりとしたなめらかな食感が特徴だ。
持ち帰りのほか店内での飲食も可能で、参拝や散策の休憩に利用できる。「胡麻豆腐(わさび醤油)(400円・税込)」、「胡麻豆腐(和三盆)(400円・税込)」などが味わえる。
筆者は、そのみずみずしくもっちりとした食感に衝撃を受け、お世辞抜きに人生最高の胡麻豆腐だと思っている。友人へのお土産にも大変喜ばれた。売り切れしだい終了してしまうので、ぜひ早めに手に入れておきたい。
●高野山 胡麻豆腐 濱田屋
住所 〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町高野山444
電話 0736-56-2343(9:00~17:00)※売り切れしだい終了
■宿坊体験の魅力を紹介!
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今回、高野山の滞在中にお世話になったのは、「高野山 準別格本山 宿坊 恵光院」だ。奥之院参道の入り口・一の橋から近く、奥之院への参拝がしやすいうえ、「奥之院ナイトツアー」のスタート地点でもあり、参加者にはとても便利である。
●宿坊はまるで旅館のよう!?
まず、部屋は100平米の豪華なスイートルームから6畳のコンパクトな和室まで、さまざまな種類が揃う。部屋タイプによってはバス・トイレ共同となるが、アメニティもあり、無料のWi-Fi完備で設備もまるで旅館やホテルのようだ。部屋の掃除もきちんと行き届いている。
庭園を臨む部屋では、木々が風に揺れる音を聞きながらゆっくりと寛げる。
●豪華・精進料理をいただく
次に、宿泊の楽しみのひとつといえば食事だ。精進料理と聞くと、質素な食事を想像する人も多いかもしれないが、高野山の宿坊で提供される精進料理はひと味違う。
2段のお膳には、野菜・海藻・豆類・山菜などをたっぷり使った、彩り鮮やかでヘルシーな料理がいくつも並ぶ。肉や魚を一切使っていないとは思えないボリュームで、胃袋も大満足だ。
夕食が17時30分からと早いうえに植物性食材の料理なので、夜中にお腹が空いて目が覚めるのではと心配したが、そのようなことはまったくなかった。
●貴重な真言密教の体験をしよう
宿坊体験では、基本的に無料で真言密教のさまざまな修行体験に参加することが可能だ。
毎朝7時に本堂で行われる「勤行(ごんぎょう)」は、仏さまを称え供養するためのお勤めで、仏前の読経で祈り心を鎮める。
勤行終了後、毘沙門堂(びしゃもんどう)で「護摩祈祷(ごまきとう)」がある。炉に護摩木をくべて火を焚き、供物を焼いて香りを天に届け、仏さまに祈願する。燃え上がる炎の前での祈祷は、とても厳かで神秘的だった。
続いて、16時30分から道場で行われるのが、真言宗の瞑想法である「阿字観(あじかん)」だ。目を閉じて独特の呼吸法で意識を集中すると、煩悩に惑わされつつも自分と向き合えた気がする。
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そのほか、部屋では好きな時間に写経体験ができる。スマートフォンやパソコンの普及で文字を書くことが減っているなか、般若心経を一字一句書き写していると思わず夢中になる。心を込めて文字を書くことで穏やかな気持ちになれた。
1日を通して、ほかでは得られないような貴重な体験ができるのが、修行体験の魅力であると感じた。
●高野山 準別格本山 宿坊 恵光院
住所 〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町高野山497
電話 0736-56-2514
■忙しい日常から離れて、高野山の世界観を堪能しよう
高野山は、1〜2日あれば主要な見どころを網羅でき、京都の観光と比べると移動距離も短い。また山上にあるため、夏場は平地よりも涼しく、体への負担も少なめだ。
見どころをめぐった後は、宿坊で阿字観や写経などを体験し、忙しい日常から離れてゆっくりと自分を見つめ直すことができる。世界遺産登録20周年を迎える魅力いっぱいの高野山にぜひ訪れてほしい。
※この記事の情報は2024年7月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。