コンビニの24時間営業支える留学生、従業員の半数超えるケースも 訪日客に英語で接客

レジ対応をするアルバイト(右)。レジ以外にも多様な業務をこなす

 働き手不足が深刻になる中、中国地方でも外国人材の受け入れが広がっている。消費者に身近なコンビニや外食に加え、介護や建設、観光、造船など業種は幅広い。在留資格の制度拡大も追い風になっている。

 平和記念公園(広島市中区)に近いローソン広島紙屋町二丁目店。従業員18人のうち、外国人留学生は10人と半数を超える。出身国はベトナムやネパール、バングラデシュ、ミャンマー。24時間営業を支えているのは多国籍のスタッフたちだ。

 6月中旬の夕刻。会社員や訪日客で混み合う店のレジで、ベトナム人アルバイトのグエン・マエチュン・ドゥックさん(25)が、バーコード読み取り機で精算した商品を素早く袋に入れて客に手渡していた。広島工業大専門学校(西区)に通い、週末を中心に働く。

 ドゥックさんの仕事は忙しい。レジ業務が落ち着くと陳列棚の商品を並べ直し、揚げ物の調理もする。ここ1年は料理のデリバリー業者を通じた注文が店内のタブレットに届き、約3千種類の商品から指定の品を選んで袋詰めする業務も担う。

 「大変だけど、全てを完璧にこなせた時の充実感は大きい」とドゥックさんは笑う。学校ではITを学ぶ。「コンビニはレジやタブレット端末などIT機器にあふれている。学んだ知識を店で実際に体感できる」。バイトを実践の場と捉える。

 留学生は訪日客に英語で接客し、日本人スタッフが困っていたら通訳もする。深夜に働く人もいる。東山寿彦オーナーは「優秀な留学生のおかげで本当に助かっている。少子化などで日本人学生が集まりにくい中、留学生なしに24時間営業は考えられない」と感謝する。

 コンビニ大手3社によると、3社の店舗で働く従業員約80万人のうち1割超の8万人余りが外国人だ。主力は留学生。3社も加盟する日本フランチャイズチェーン協会によると、外国人従業員はこの5年で2割以上増えた。

 コンビニ各社は、留学生たちが働きやすい環境を整えている。ローソンは業界用語を7カ国語で学べる従業員用アプリや多言語表示できるレジを置く。セブン―イレブンは簡単な日本語にイラストを添えたマニュアルも用意している。ファミリーマートも外国人向け研修などに取り組む。

 一方で課題もある。あるコンビニの広報担当は「留学生は日本語レベルの差が大きい。本部スタッフも派遣し、店で言葉遣いを指導している」と説明する。国のルールでは通常、留学生の就労時間は週28時間まで。上限を超えないように本部でも確認を徹底している。

 中国経済産業局によると、中国地方のコンビニは4月時点で3050店(速報値)と、この10年で12・9%増えた。国の在留外国人統計では、中国地方の「留学」の在留資格者は昨年末時点で1万2141人と、10年間で65・6%増。広がる店舗網を外国人従業員が維持する状況が浮かぶ。

 「実践的な日本語や先端サービスを学べるのが魅力」。広島市内のコンビニで働く複数の留学生は、こう口をそろえた。そして、誰もが同じ出身国の仲間から紹介を受けていた。留学生と良好な関係を築き、働き先として選ばれ続ける―。コンビニにとって、そんな循環が人手不足を乗り切る鍵になる。

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