【感染症ニュース】新型コロナ第26週全国定点5.79(6/24-30)と増加 沖縄県は29.91に… 医師が「海外との往来が一因」と指摘

全国の定点当たり報告数は5.79

厚生労働省が2024年7月5日に発表した2024年第26週(6/24-30)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は5.79。前週(6/17-23)の4.61と比べ、25%ほど増加しています。都道府県別にみると、沖縄県(29.91)・鹿児島県(15.42)・熊本県(12.21)・宮崎県(11.78)・佐賀県(11.26)千葉県(9.17)の順に高くなっています。増加しているエリアが増えてきたため、注意が必要です。
現在の流行状況について、感染症に詳しい医師を取材しました。

【7月に注意してほしい感染症!】新型コロナ徐々に増加 夏の感染症「手足口病」警報レベルのエリアも… 医師「マイコプラズマ肺炎、今後、更に増加」と予測

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「新型コロナウイルス感染症の患者報告数が、全国的に増加しています。北海道は、減少していますが、特に、流行の大きい沖縄県の増加が気がかりです。沖縄県は、国内外でも人気の観光エリアですが、ここ最近の流行は、海外からの『持ち込み』も一因に挙げられるのではないかと考えています。世界的にみると、台湾は、新型コロナウイルス感染症の流行地域であり、2024年7月頃に流行のピークを迎えるとの予測も出ています。沖縄県は、その台湾でも人気の観光地で、多くの観光客が訪れています。海外との往来による持ち込み・持ち出しにも、注意する必要があります。また、全国的にみると、九州地方では、大きく増加しているほか、比較的定点報告数の少ない大阪府でも前週比で32%ほど増加しています。今後、多少の増減はあるにせよ、夏季の流行に向け、全国的に右肩上がりでの増加傾向はしばらく続くと予測しています」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

夏の感染対策のポイント

感染対策としては従来どおり、「換気」「手洗い・手指消毒」が有効です。冷房を入れていても換気を心がけ、換気扇も活用してください。ウイルスは手から目や鼻、口に入ることがあるので、流水や石けんによる手洗い、アルコール製剤などでの手指消毒が有効です。また、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば、重症化リスクが高まります。夏休みやお盆で帰省するなど高齢の方と会う場合や、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。医療機関や高齢者施設を訪問するときには、うつさないためにもマスクの着用が効果的です。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第26週、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて 国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年5月

取材
大阪府 済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

© 広島テレビ放送株式会社