気候変動、海中から警鐘 プロダイバー武本さん、茨城・日立で講演

気候変動について講演した武本匡弘さん=日立市若葉町

第63回茨城県母親大会(同実行委主催)が7日、同県日立市若葉町の市民会館で開かれた。プロダイバーで環境活動家の武本匡弘さん(68)が「海の中から地球が見える」をテーマに、気候変動問題について記念講演。「誰かを犠牲にしている私たちの暮らしを考え直さないといけない」と、集まった約440人に語りかけた。

武本さんはダイビング歴46年で、NPO法人気候危機対策ネットワーク代表。温暖化の実態を「目撃者」の立場で報告している。

この日の講演では、沖縄県の海で撮影した約30年前と現在の写真を比較し、海底をサンゴが覆う割合が大きく減少していると指摘。「原因は気候変動。台風の接近回数が減り、海水温が上昇している」と語った。

探査航海する太平洋のマーシャル諸島なども同様といい「サンゴと共生する魚が減り、島の人の自給自足が断たれている」と解説。日本近海でも海藻が急激に減る「磯焼け」が発生し「海の砂漠化が広がっている」と報告した。

先進国が大量に温室効果ガスを排出してきた代償を、発展途上国や将来世代が負わされる構図を示した上で「これを『気候正義』という視座で考え、若い世代と一緒に立ち向かう必要がある」と強調した。

海洋プラスチックごみの問題については、プラスチックフリー用品専門店を立ち上げた経験を紹介。「一人一人の気付きと行動によって空気感が変わり、社会変革につながる」と語った。

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