子供たちを性被害から守る「日本版DBS」創設法が成立 子育て世代や関係者は歓迎、一方で課題も…

DBSとは、イギリスの「犯罪歴照会制度」で、それを参考にしたのが「日本版DBS」。2024年6月に子供を性被害から守るため国会で成立した。しかし、下着の窃盗などの犯罪や、フリーランスの家庭教師は対象外…などの課題も残っている。

日本版DBSとは

日本版DBSでは、保育所や幼稚園、学校の教員などの「性犯罪歴の確認」を義務付ける。

学習塾や放課後児童クラブ、スポーツクラブなど民間の事業者は「任意」だが、国から認定を受けた場合は、同様の対応が必要になってくる。

対象となる性犯罪は、不同意わいせつ罪などの刑法犯のほか、痴漢や盗撮などの条例違反も含まれ、性犯罪歴がある人は刑の終了から最長20年、子供と接する仕事に採用されないなど就業が制限される。

職業選択の自由やプライバシーの壁を超えて成立したこの法律。
子育て世代や子供の性被害の支援を行う団体からは、歓迎の声が多く聞かれた。

高校生や保護者の方に意見を聞くと…

「過去に性犯罪歴があると不安だからそういう法律はいいと思う。性別に関係なく性犯罪は起こるのでそこが心配」
「トイレとか着替えとかちょっと心配ではある。そういう法律ができればしっかりみていただけるので、安心かなとは思う」
「前科がある人だけがそういうのを繰り返しているのかといったら、それだけじゃなんともいえない」

みやざき被害者支援センターの相談員は、今回の「日本版DBS」法の成立について、性被害から子供たちを守るための大きな一歩だと話す。

みやざき被害者支援センター 相談員:
この制度ができたことで、少しでもそういう人が子供たちの活動の場から排除されることになれば子供への性暴力の抑止効果は高いのではないかと考えている。

性暴力の被害者の支援のために県が開設した相談窓口に寄せられた10代の相談件数は2022年度が56件。2023年度104件と2倍に増えている。

最近ではスポーツクラブの指導者から被害を受けたという相談も受けている。

みやざき被害者支援センター相談員:
学校や保育施設等だけでなく、色々な業種に対象が広がってくれることは、子供を守る立場からいえば大切で有効な手段だと思うが、例示された以外の施設も多いので加害者側の個人情報の問題、どこまで規制をかけるのかというのは非常に難しい問題ではないかと思っている。

様々な問題が…

知識がなく、社会的立場の弱い子供が性被害を受けるケースには問題があるという。
性暴力被害にあっていることを、まず自分が認識できないという点。認識できてもそれを言い出せない、相談できる人がいない、親であっても躊躇してしまう部分がある。

圧倒的に、顔見知りや自分の知っている人から被害を受けることが多いので抵抗できないケースが多い。子供のうちの被害を大人になって初めて認識して精神的にダウンしてしまうというのが被害の特徴である。

この法案を通じて社会全体が性暴力被害を考えるきっかけになってくれれば、この性暴力被害の抑止につながるのではないか。

「日本版DBS」創設法の成立は、子供を性被害から守る大きな一歩ではあるが、下着の窃盗やストーカー規制法違反などは対象の犯罪に含まれておらず、フリーランスの家庭教師やベビーシッターなどの個人事業主は対象外。

施行は2年後を目処としているが、実効性のあるものとするには、課題も残っている。

(テレビ宮崎)

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