結婚式は「外国人牧師」のはずが… 当日「高齢の日本人男性」が担当 花嫁「台無しにされた」と憤り

写真はイメージ(マルリィ / PIXTA)

結婚式でお願いする牧師が外国人と聞いていたのに日本人だったーー。

弁護士ドットコムにこんな相談が寄せられています。

結婚式を挙げたという相談者。しかし、事前の打ち合わせとは異なる進行があったことに「人生で一度の晴れ舞台が台無しにされた」と強い憤りを感じています。

その一つが式を執り行った牧師です。当初は「かっぷくのいい外国人の方と聞いていた」にもかかわらず、当日担当したのは日本人の高齢男性でした。

ほかにも食事のメニューが違うなどのトラブルがあり、運営側は過失を認めて「3万円の割引」を申し出ました。

相談者がなぜ、牧師が外国人であることにこだわったのかは不明ですが、事前に「外国人の牧師」と確認した上で契約したために納得がいかない様子です。

結婚式への立ち会いをお願いしていた牧師や神父が当初の約束とは違った場合、挙式にかかった費用の返金や慰謝料を請求することはできるのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

●請求できる可能性はあるが全額返金は難しい

ーー今回のケースで相談者は結婚式場に契約不履行として損害賠償を請求できますか?

結婚式の立ち会いをお願いする牧師や神父が「外国人であること」が契約の本質的内容に含まれているような場合であれば、債務不履行があったことは明白ですから、損害賠償請求できる可能性はあります。

ただ、外見はいかにも日本人であっても日本国籍を有していない方もいるでしょう。その場合、果たして相談者は納得するのでしょうか。

その意味において、牧師や神父が「外国人であること」が契約の本質的内容に含まれるような契約を締結することは困難なように思います。

かりに損害賠償請求が認められるとしても、挙式にかかった費用の返金は難しいのではないでしょうか。慰謝料の額もそれほど高額とはならないでしょう。

●契約締結後のやり取りが重要

ーー結婚式場とのトラブルを避けるため、契約時に気を付けるべき点はありますか?

コロナ禍で結婚式場とのトラブルは多くみられました。実際に相談も多かった印象です。

当職の肌感覚ですが、トラブル回避のためには、契約時に気を付けるというよりは、契約締結後の結婚式場とのやり取りのほうが重要だと考えます。

多いのは、当初聴いていた内容や条件と異なることを結婚式場の都合でなし崩し的に強行されるケースです。

しかし、「当初聴いていた内容」を契約条項に盛り込むことはなかなか難しいと思います。あらゆる状況を契約時に想定し、盛り込むことは技術的に不可能に近いからです。

また、ある程度は定型的な契約書しか結婚式場も準備していないでしょう。

たとえ「当初聴いていた内容」とは違ったとしても、当事者が納得すればトラブルにはならないはずです。

当事者と結婚式場のコミュニケーションがスムーズにできることこそが、トラブル回避の処方箋となり得ると思います。

【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:https://www.hamakado-law.jp/

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