“雨の匂い”はなぜする? 匂いの正体とは? 「降り始め・雨上がりで香りが違う」と専門家

「雨の匂い」の正体とは

全国的な梅雨明けは7月中旬と予想されており、雨の季節ももうすぐ終わろうとしています。この時期は予報に無くても急に雨が降り出すこともあり、外に出なくてもその「匂い」で雨が降っていることに気づくこともしばしばありますよね。では、この「雨の匂い」とは一体、何の匂いなのでしょうか。芳香剤をはじめとする化成品の開発や製造販売を行う「匂いのスペシャリスト」である京都リフレ新薬(京都府城陽市)に聞きました。

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京都リフレ新薬によると、雨の匂いにも様々あるそうで、例えば「降り始め」と「降った後」でもその匂いの成分は異なるようです。その上でまず、降り始めの雨の匂いは「ペトリコール」と呼ばれるそう。

「匂いの仕組みとしては、雨粒が地面や植物に衝突する時、小さな粒子を含んだ気泡(エアロゾル)を放出します。植物由来の油が付着している乾燥した土壌や岩石にこのエアロゾルが当たった際に、それらの成分がエアロゾルの中に取り込まれて、私たちの鼻に届くのです」(京都リフレ新薬)

まだ雨が降ってはいないが、雨の匂いを感じる.....と感じる理由はこの匂いを取り込んだエアロゾルが風によって運ばれてくることも一因としてあるそう。雨が降りそうなことを匂いで感じるのは、遠くで既に降っている雨の匂いだという可能性もありそうです。

ちなみに米津玄師さんの曲のタイトルにもなっている「ペトリコール」ですが、ギリシャ語で“石のエッセンス”という意味だそうです。

一方で雨上がりの匂いは「ゲオスミン」と呼ばれ、こちらは土中のバクテリアによって作り出されるカビ臭いような香りが特徴とのこと。ゲオスミンは雨水によって拡散し、雨水が蒸発し始める際に匂いが強まるそうです。また、匂いの一つとして、アスファルトから香る匂いもあるようで、こちらは、カビや排ガスなどを含むホコリが水と混ざり、アスファルトの熱によって匂い成分が気体となったものだそうです。

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普段は鬱陶しさも感じる雨ですが、匂いの科学的な意味も気にしてみると少しは楽しむこともできそうです。

(取材・文=宮田智也)

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