ラピダス、フロッピー、都知事選…スイスのメディアが報じた日本のニュース

7日実施された東京都知事選で、小池百合子氏が3選を果たした (AP Photo/Hiro Komae)

スイスの主要報道機関が先週(7月1日〜7日)伝えた日本関連のニュースから、①半導体大国の再興を目指す日本②行政のフロッピーディスク使用を終了③東京都知事に小池百合子氏再選、の3件を要約して紹介します。

半導体大国の再興を目指す日本

日本は再び世界の半導体リーダーになれるのか――最先端半導体の国産化を目指すラピダスに、日本政府は最大9200億円の支援を約束しています。ドイツ語圏の大手日刊紙NZZはラピダスの小池淳義社長に取材し、同社が政府の野心的計画で果たしている役割を解説しました。

ラピダスは2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの高性能半導体を2027年に市場化することを目標に、北海道に初の工場を建設中です。NZZは米シンクタンク国際戦略研究センターの言葉を引用し、ラピダスの生産開始は「前例のない技術的成果」になると紹介しました。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン、米インテルなどが時間をかけて開発してきた半導体を、「日本は数世代スキップする」ことになるからです。小池氏は「政府の強力な支援」を背景に、この難題を乗り越える可能性があると語りました。

また記事は「日本は自前の半導体工場の建設に関して、欧州やドイツよりも一歩進んでいる」と評価。欧州はTSMCやインテルの工場設立に依存する一方、日本自体はかつてのように世界的な技術リーダーになろうとしていると対比しました。(出典:NZZ/ドイツ語)

行政のフロッピーディスク使用を終了

デジタル庁が3日、行政手続きの記録媒体としてフロッピーディスクの使用を求める規定を全て撤廃したと発表しました。つい先月までこの「旧式の記憶装置」が使われていたことは、スイスのフランス語圏・イタリア語圏でニュースになりました。

フランス語圏の無料紙20min.は「我々は6月28日、フロッピーディスクとの闘いに勝利した!」という河野太郎デジタル相の言葉を見出しに取りました。「ピークから20年、生産終了から10年以上を経てようやく、政府システムで時代遅れのテクノロジーの使用を終了」。デジタル庁が発足した2021年、検査やワクチン接種といったパンデミック封じ込めにおいて政府が紙やフロッピーなどに依存していることが問題視されたと解説しました。

ティチーノニュースなどイタリア語圏メディアは「日本はテクノロジー大国とみなされているが、変化に対する一定の抵抗もあり、近年は世界的なデジタル変革の波に遅れをとっている」と報じました。コロナ禍に接触者追跡アプリの開発が一般公開されずに終わり、マイナンバーの導入も度重なる不具合により予定より遅れたことを例に挙げました。(出典:20min./フランス語、ティチーノニュース/イタリア語)

東京都知事に小池百合子氏再選

7日実施された東京都知事選。男性政治家が圧倒的多数を占める日本政治の中で小池百合子氏と蓮舫氏の女性対決になったことに、無料紙20min.などスイスのフランス語圏メディアが注目しました。

同紙は小池氏がコロナ禍で延期・実施された東京五輪で都のトップに立ち、閉会式でパリのアン・イダルゴ市長に五輪旗を手交したと紹介。「不人気な岸田文雄首相率いる自民党は小池氏を支持し、同氏の再選を歓迎している」と説明を加えました。

東京都の直面する課題として少子化対策を挙げ、2人の女性候補者が子育て支援を公約に掲げたと伝えました。(出典:20min./フランス語)

【スイスで報道されたその他のトピック】

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「ベジャール・バレエ団、財政難に直面」(記事/日本語)でした。他に「スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳」(記事/日本語)、「テイラー・スウィフト公演に備えるチューリヒ」(記事/英語)も良く読まれました。

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は7月15日(月)に掲載予定です。

校閲:宇田薫

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