覚醒のルーキー勢。「恥ずかしい話」の木村偉織が午後5番手、平良響も「ロングは95%、OK」/SF富士テスト

 7月8日、2日目を迎えた全日本スーパーフォーミュラ選手権の富士公式テスト。午前のセッション3、そして午後のセッション4を通じて、ふたりのルーキードライバーが上位に進出する場面が見られた。

 ひとりは、San-Ei Gen with B-Maxから参戦する木村偉織だ。午前中、25周目に1分23秒504を記録した木村は、このタイムでセッション9番手に。さらに午後も1分23秒532で5番手に食い込んだのだ。

 前戦SUGOでは決勝で9位に入り、1ポイント(ハーフポイント)を獲得した木村は、このテストでは「余裕でQ2に進出できる順位。できればサードロウかセカンドロウに食い込めるポジション」を目標にしていたというが、2日目にそれを達成。開幕3戦での予選順位が12番手、18番手、11番手という木村にとっては、一定の飛躍を遂げたとも言える。

「テスト中はいろいろありましたが、最終的なリザルトでいえばその目標は達成できたし、充実した内容のテストでした」と木村は2日間を総括した。

 初日は19番手、17番手で2セッションを終えていた木村だが、2日目に向けては「セクター3や、1コーナーなどの低速コーナー」でのドライビングを見直し、それに合わせたセットアップを施すことで、上位進出を果たすことができたという。ヒントとなったのは、初日を終えて確認した公式アプリ『SFgo』の車載映像だった。

「速いドライバーの走りとかをいろいろと見ているなかで、何か自分の思っていたイメージと違う部分がありました。そこをエンジニアさんとしっかり会話して、ドライビングを修正して、そこに対してクルマをちょっと合わせたという感じです。もともとの持ち込みが大きく外れていたという感じではなかったと思います」

 なお、午後の5番手タイムは、オーバーテイク(OT)システムの試用が許される時間帯の終盤に記録したものだが、木村は「OTを使っているときの1コーナーのブレーキングは結構難しくて、正直、あまりOTの取り分がなかったという……恥ずかしい話ですが」と苦笑する。

「同じタイミングでOT使わずにアタックしていても、たぶん同じようなタイム、(1分)23秒5には入っていたかなと思います」

 午後のセッションではその後、連続20ラップ近いアウティングを含めたロングランも行ったが、木村はここで好感触を得たようだ。

「ロングはすごく良かったです。(本山哲)監督からも『ロングがそれだけいいんだったら、ニューでもっとちゃんとタイム出せよ』って言われるくらい、良かったですね。いい手応えのなかで終えることはできました。ここから(レースウイークにはスーパーフォーミュラ・)ライツなど他カテゴリーのクルマが走って、路面がどうなるかだけが不安ですけど、いま現状やれることのベスト、という意味では出し切れたのかなと思います」と、木村は来週に控えた第4戦に向けても、手応えを掴んでいたようだった。

2024スーパーフォーミュラ富士公式テスト 木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)

■木村と同じ課題を抱える平良

 一方、前戦スポーツランドSUGOよりITOCHU ENEX TEAM IMPULから出場している平良響も、2日間の走行を終えて充実した表情を見せていた。そもそもSUGOは事前テストなしのぶっつけ本番だったこともあり、精神的にもプレッシャーのかかる状態であったが、一転して今回はある程度リラックスした状態でテストに臨めたという。

 山下健太(KONDO RACING)が2日間の全体ベストを刻んだセッション3では、木村と同じく中盤のタイミングで1分23秒557をマークして一時上位に進出、最終的には10番手で午前の走行を終えた。

 ロングランがメニューの中心となる午後のセッション4に向けては、事前に首への負担などスーパーフォーミュラにおける身体面への影響を気にしていた平良だったが、走行後には「意外と、まったく問題ありませんでした」と安堵の表情を浮かべていた。

 同時に、SUGOでは決勝が雨、かつ途中終了となったことでロングランでのペースやタイヤのデグラデーションなどが体験できていなかったが、「タイム的にも、ずっとトップぐらいのところにいることができた」と手応えを感じられたようで、「ロングランに関しては、95%オッケー」と語るほど、レースラップには自信を深めることができたようだ。

 ただ木村と同じく、課題はショートラン(予選一発)にあるようだ。

「ニュータイヤのタイミングではもちろん全力、順位を追ってのアタックだったのですが……ロングは速いのに一発が全然ダメでしたね。そこは、次のレースまでの課題です。とくにセクター3は、ダメダメですね」

 一発のタイムを刻むために、『タイヤのグリップのピークを1周持続させる』という点で、まだ課題があると指摘した平良。木村ともども、ショートランでの課題を克服することができれば、決勝を上位で戦える可能性も高くなりそうだ。

2024スーパーフォーミュラ富士公式テスト 平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

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