「映画の大作を見たような」将棋の王位戦100万円ツアーに密着 想定外の事態も発生

猛暑の名古屋で開幕した将棋の王位戦は、手に汗握る「異例」の展開に。二転三転する劇的なドラマを見届けたいと、この対局のために用意された「100万円観戦ツアー」の参加者も、急きょスケジュールを変更しました。

真夏のタイトル戦といわれる、将棋の王位戦七番勝負。 藤井聡太七冠に渡辺明九段が挑戦する今期の開幕戦の舞台は、名古屋市東区の徳川園。 対局2日目の7日午後4時ごろ、同じ局面が4回繰り返される千日手が成立し、異例の指し直しとなりました。 渡辺九段の先手で始まった指し直し対局は、一転、激しい攻防が―― 渡辺九段が藤井七冠を追い込み、勝利目前! ところが、AIが示す最善手から遠い手を放つと、形勢が180度逆転します。 劣勢ながら粘り強く指し続けた藤井七冠が、最後の最後で大逆転勝利を収めました。

2泊3日の100万円観戦ツアー

今回の対局で注目されたのが、2泊3日の100万円観戦ツアーです。 トップ棋士2人の対局を間近で観戦できたり、藤井七冠の師匠、杉本昌隆八段らが同行したりするなど、将棋ファンにはたまらない内容です。 対局前日のツアー初日を終えた時点で、参加者は―― Q.一緒に写真を撮っていましたが 「一生の宝物で。感動の連続で、なかなか言葉にしづらい」(ツアー参加者)

ツアー2日目は、勝負めしを味わう

ツアー2日目は、緊張感に包まれた対局室で、両棋士の初手を見学するところからスタートしました。 その後、参加者の前に用意されたのは、きしめんなどの名古屋めし。 2人と同じメニューから選んだ、いわゆる勝負めしです。 午後3時のおやつには、藤井七冠が選んだものと同じ、「こぐまくんケーキ」が登場。 さっそく記念撮影が始まります。 中には、自分で作成した藤井七冠のアクリルスタンドと撮影する人もいました。

一緒におやつを食べる“シンクロ体験”

今回の王位戦では、挑戦者の渡辺九段が事前に「おやつは対局室で食べる」とSNSで宣言。 ツアー参加者は、モニター越しに渡辺九段を見ながら、おやつを食べる“シンクロ”体験ができました。 「対局者が食べている同時刻でおやつを食べられるのは、初めてのことなので、とても幸せ」(ツアー参加者) Q.一緒のタイミングで同じものを食べるのは 「そう聞かれると鳥肌が…」(ツアー参加者)

千日手で想定外の事態に

肝心の対局は、千日手が成立。 “一から将棋を指し直す”ことになりました。 しかし、それはツアーとしては想定外の事態です。 ツアーでは対局終了後に、藤井七冠と渡辺九段が対局を振り返る、感想戦の見学が最終日の目玉プログラムに入っています。 ところが、指し直しとなったことで、対局終了時間は夜遅くに―― それでも半分以上の参加者は、藤井七冠と渡辺九段が談笑しながら指す、感想戦独特の雰囲気を、特設の桟敷席で心ゆくまで堪能していました。

「映画の大作を見たような素晴らしい一日」

引率した、杉本八段は―― 「将棋が二転三転するような大熱戦で、おそらくツアーに参加していただいた皆さんも、満足していただけたのではないかと思う。最後の最後で大きなドラマがあったのが大きいですよね。映画の大作を見たような、素晴らしい1日だったのではないか。満足してもらえたと思っている」(杉本昌隆八段)

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