進化を続けるアーティスト、KrisGoto

2017年からオアフ島でフルタイムアーティストとして、ワールド・ワイド・ウォールズ(World Wide Walls、旧POW! WOW! Worldwide)、レストランなど多くの壁画や、数々の企業コラボレーション、そしてギャラリーでの個展を精力的に行い、活躍している日本人アーティスト、クリス・ゴトウ(Kris Goto)さん。

2023年からカカアコ西部でスタジオを構え、創作活動を行っています。このビルには、人気のプランツ&フラワーショップ、パイコ(Paiko)や、ワールド・ワイド・ウォールズのファウンダー、ジャスパー・ウォング(Jasper Wong)氏のスタジオなど、ヒップなリテールショップやメディア、ギャラリー、ミュージックなどを営むアーティスト同士のコミュニティーがあり、地元で注目されているエリアなのです。

そんなアーティストにとっても心強いビルにスタジオを構えたクリスさん。数年前は、傘をさしたサーファーガールなどサーフィンをメインに描いていたクリスさんを久しぶりに訪ねると、壁には新しいスタイルのアートが飾られていました。特に気になったのが、壁に立てかけてあったクリスさんならではの日本をテーマにしたアート「TSUBAKI」。2024年にリリースしたDNAシリーズの作品の一つです。

舞妓に憧れていたという笑顔で話すクリスさんが、細かい日本の文化の中で規則正しく生きている舞妓の姿を描いた作品です。「日本人が感じる落ち着く空気感」がコンセプトにもなっているこの作品を描いたきっかけは、数年前にハワイ大学で鑑賞した歌舞伎公演だったそう。

子供の頃から海外生活が長かったクリスさんが、日本人であるという自分のアイデンティティーをないがしろにしていたと気づき、20代後半で自己肯定をしていくプロセスの中で、日本人の素晴らしさに気づいていきました。

その中で、日本ならではの色の使い方、着物の模様やデザインなど、日本人だからわかるセンスを自身のアートに反映していったのです。そんなプロセスを辿って生まれたDNAシリーズは、クリスさん自身が日本人としてのルーツと関係を再構築するための作品たちでもあるのです。

「アートは自分の一部だから、自分が変わるとアートも変わる」と赤裸々に語ってくれました。

© ハワイ州観光局