イカツい体は見かけ倒し…? 可哀想な扱いを受けてしまった『キン肉マン』マイナー超人たち

TVアニメ「『キン肉マン』完璧超人始祖編」正義超人キービジュアル(c)ゆでたまご/集英社・キン肉マン製作委員会

約32年の時を経て、7月7日から放送がはじまった『キン肉マン』完璧超人始祖編。この日を首を長くして待ち続けた人も多かったことだろう。筆者もそのうちの一人である。

ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)が手掛ける本作は、1979年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が開始され、時代を超えて愛され続ける漫画だ。

そんな本作に登場する超人のなかには、イカツい身体を誇る強そうなヤツがいたものだ。しかし、体格に恵まれたからといって必ず勝てるわけでもないのがバトルの面白いところでもある。

今回はイカツい身体とは裏腹に、ちょっと可哀想な扱いを受けていた『キン肉マン』マイナー超人を見ていこう。

■充電専用? 弱小超人と仲間に軽んじられた「モーターマン」

まずは「キン肉星王位争奪編」で、キン肉マンゼブラ率いる技巧チームの次鋒として登場するモーターマンだ。頭の部分がドリルになっており見た目こそ大きくイカツいのだが、なんとも可哀想な結末を迎えることとなる。

一回戦目の傷が癒えない満身創痍状態のテリーマンとの一戦では、決め手に欠ける試合運び。両腕に仕込まれた電池のプラスとマイナスを合わせて光を放つ技、スパーク・リング・フラッシュを繰り出す姿はちょっとカッコ良いものの、ただ、詰めが甘いのか足元にまで気が回っていない。そしてテリーマンからスライディングを受け、前のめりにかっこ悪く転んでしまっていた。まあ、この試合は結果として無効となる。

続いて、バイクマンに変装して試合会場に現れたラーメンマンとの一戦だ。果敢に立ち向かっていくものの、完全復活したラーメンマンからキャメル・クラッチを食らい、なんとわずか37秒という速さで真っ二つに破壊されてしまった。う〜ん、なんとも哀れだ。さらに、中堅で登場するバイクマンからは弱小超人と揶揄されてしまう始末……。

しかも、このモーターマン、ガソリンと電気を動力源とするバイクマンの充電役としてチームに帯同しているらしい。バイクマンは当時では珍しいハイブリッドっぽく見えるのだが……。専用充電が必要なら買えよって言ってやりたいぞ。

それにしても充電器としての扱いなんて……気の毒すぎるぞ、モーターマン!

■トイレに流される不憫なヤツ…見掛け倒しの「タイルマン」

次は、第21回超人オリンピックの予選にて、新幹線アタックで怪力を見せつけた「タイルマン」だ。全身タイルという出で立ちで、キン肉マンにも「わっ……でけえ!」と驚かれている。しかし、最終予選ではザ・フィッシャーズによって、ゴール目前で妨害されてしまい、あえなく予選落ちとなってしまう。

その後タイルマンは、キン肉マンとベンキマンが対決する前に敗者復活をかけた公開デモンストレーションに挑戦。しかし、あっという間にベンキマンに丸められて小さなボール状にされてしまい、挙げ句の果てに体の便器で流されてしまった……。

当時はまだまだ和式トイレが普通だったこともあり、ベンキマンとタイルマンはセットのようなイメージだったのだが……。なんとも衝撃的な結末だったものである。

そういえばベンキマンって名前通り“便器”のイメージが強過ぎるが、巨体のタイルマンを丸める技術も相当に凄い。まあ、見掛け倒しだったというのがタイルマンの一番の敗因だと思うが。

だが、実はタイルマンは2017年、岐阜県多治見市にあるJR多治見駅前に像が建てられている。マイナー超人なのに!と、ビックリした人も多いだろう。筆者も度肝を抜かれた。

なんでも、タイル産業が盛んな多治見市の若手有志によって、楽しく「タイルのまち」をPRするために建てられたという。タイルマンを選んでくれるあたり、キン肉マンファンとしては嬉しい限りだ。

■砲弾を発射するのは反則じゃ? 開始早々瞬殺された「レオパルドン」

最後は「キン肉星王位争奪編」に登場する「レオパルドン」だ。キン肉マン ビッグボディ率いる強力チームの次鋒として、知性チームの先鋒・マンモスマンと対決する。

先鋒のペンチマンはマンモスマンに傷をつけるくらいには活躍したものの、見事に完敗。焦るキン肉マン ビッグボディに「つ…つぎ 次鋒でろ!!」と促され、サッとパイプ椅子から立ち上がったレオパルドン。「次鋒レオパルドンいきます!!」といい返事をして、シャツとヘルメットを脱ぎ捨てて立ち上がる。

「グオゴゴゴ」と勢いよく襲い掛かるのだが、マンモスマンのノーズ・フェンシングで胸を貫かれてあっという間にノックアウト。ここまでおそらく1秒くらいしかかかっていないはず。どうしようもないやられっぷりだった……。

いや、レオパルドンの名誉のために、ちょっとおさらいしておこう。彼はドイツ代表の超人で、背中には砲台を備えて左手には銃砲がある。どう考えても反則丸出しの存在なのだが、戦時下では活躍できるのだろう。

しかし、マンモスという古代の生物相手に、文明が発達した銃器があえなく敗れてしまう展開には驚くしかない。というより、砲台や銃砲を使わなかったら巨象には勝てないのは当たり前か……。

そういえば、レオパルドンはあんなにガタイがいいのにパイプ椅子に座っていた。背中の砲台が背もたれに当たらないように浅く腰掛けるしかなかっただろう……と考えると、ちょっと可愛く思えてくるな。

さて、ここで紹介した超人たちは目立った活躍ができなかったものの、連載当時は別の意味でインパクトを残してくれたものである。『キン肉マン』にはほかにも魅力的なマイナー超人がたくさんいるので、別の機会に紹介したい。

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