再訪したい国・地域ランキングの1位は日本に 要因を5つの視点で分析【電通調査】

電通は、7月3日、世界15の国・地域の20~59歳の7,460人を対象に、「ジャパンブランド調査2024」を実施した。

同調査は、2016年に開始したジャパンブランドの世界での評価を把握するために開始した。今回の調査では、訪日観光、日本の食、日本の魅力度、価値観など多岐にわたる設問から最新のインサイトを分析。「観光目的で再訪したい国・地域」で日本が1位になった要因を「期待」「契機」「関心」「地方」「和食」の5つの視点で読み解いた。

海外旅行先として日本に期待していることは、「多彩なグルメ」が最多

まず、世界の海外旅行経験者の観光目的で再訪したい国・地域を調べると、日本が34.6%で最も高く、2位がシンガポールで14.7%、米国が13.0%となった。

地域別の日本への再訪意向を見ると、東アジアが58.3%、東南アジアが52.5%でともに1位となり、東アジア内で2位となった香港とは45.2ptの差となった。また、東南アジアで2位のシンガポールとの差は23.8ptとなったことから、特にアジア圏での人気の高さが表れた。また、欧州では、6.5%で10位、北米では16.3%で2位となった。

海外旅行において日本に期待することを調べると1位は、「多彩なグルメ」で28.6%、2位が「他国と異なる独自の文化」で27.9%、3位が「他国にない自然景観」で25.6%となり、訪日観光に対する多様な期待が明らかとなった。

約半数がリピーターとして訪日観光客に

次に、日本を観光目的で訪れた人に来訪のキッカケを尋ねたところ、1位が「前回日本を訪れて楽しめたので、また行きたいと思ったから」が50.0%で最も高い結果となった。

このことから、約半数がリピーターとして訪日観光を楽しんでいることがわかる。他にも「日本の製品が気に入って日本に行きたくなったから」が44.0%、「自国で日本料理を食べて日本に行きたくなったから」が36.8%と続いた。

また、34.9%が「円安が続いているうちに、行くべきだと思ったから」と回答。同会頭を地域別で見ると、東アジアが44.1%に対して、東南アジアが25.1、欧米豪が25.4%であった。円安は主に東アジアからの重要な訪日動機となっていることがわかる。

観光客の一番の興味は「庶民的な和食レストラン」が4割超で1位に

次に、今後の来日時にお金を払って体験・利用したいものを調査。その結果、1位が「庶民的な和食レストラン」で41.4%、2位が「農泊体験」で40.0%、3位が「新幹線」で37.3%となった。また国・地域別で見ると「日本オリジナルのコンビニ食品」や「日本製のスナック菓子」なども一部の国・地域で支持されているため、訪日観光に対して多様な興味関心があることがわかる。

過去8年間の調査において都道府県認知度の上位5位に変化は見られず

次に、都道府県別の認知度について調べたところ、東京都の認知度が55.6%で最も高くなった。次に大阪府が46.4%、京都府が43.3%、広島県が36.9%、北海道が35.1%と続いた。なお、上位5位を構成する都道府県は、調査開始時からの8年間で変化がなかった。

また、訪日外国人を訪問回数別に分けて調査した地方観光の障害要因を見ると、「言語によるコミュニケーションの不安がある」が全体では36.2%、ポテンシャル層が44.5%、ビギナー層が36.4%、リピーター層が31.4%といずれの層でも最も高い結果となった。

2位以降は「東京や大阪、京都などの都会以外の地方観光地を知らない」と「地方観光地が持つアクティビティに関する情報源が足りない」が全体で26.7%、「日本の道路事情や交通ルールを理解していない」が全体で24.2%と続き、訪日外国人の地方観光における「情報不足」が大きな障害要因になっていることがわかった。
※訪問回数別に、0回かつ訪日意向ありを「ポテンシャル層」、1回を「ビギナー層」、2回以上を「リピーター層」と定義。

帰国後にまた食べたい日本料理の1位は「ラーメン」に

最後に、自国でのシチュエーション別日本食の喫食頻度を調査。その結果、外食と中食で月に1度以上日本食を食べる割合は、東アジアが外食で77.6%、中食で75.4%、東南アジアは外食で77.8%、中食で78.0%と、ともに7割以上の割合となった。一方、欧米豪では外食で57.2%、中食で59.6%と6割未満の結果となった。

また、内食については東アジアが66.0%、東南アジアが67.7%、でともに7割未満となり、外食・中食と比べて約10pt低いのに比べ、欧米豪は58.1%となっており、外食・中食と比較してほとんど差が見られなかった。

帰国後にまた食べたい日本料理では「ラーメン」が26.5%で最も高く、2位が「刺身」で19.4%、3位が「てんぷら」で19.0%と続いた。地域別で見ると全体では、17.2%の「から揚げ」が、中東で34.0%、欧米豪で20.1%なり1位となった。一方、東アジアでは11.4%で25位、東南アジアでは17.5%で10位と地域間でかなりの差があった。

【調査概要】
対象エリア:15の国・地域(アメリカ・オーストラリア・イギリス・ドイツ・フランス・インド・アラブ首長国連邦・インドネシア・シンガポール・タイ・ベトナム・中国本土・香港・台湾・韓国)
対象者条件:20~59歳の男女(中間所得層以上)
サンプル数:7,460人(内訳:アメリカ960、インド900、中国本土800、その他の国・地域各400)
手法:インターネット調査
期間:2024年1月19日~3月26日
機関:ビデオリサーチ
※中国本土の対象エリアは上海・北京、インドの対象エリアはデリー・ムンバイ・ベンガルールに限定。
※中間所得者層の定義:OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定。
※各国・地域とも性年代別に均等割付で標本収集し、人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施。

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