熱中症の被害を防ぐため、県は薬局やコンビニなどに「一時休憩所」を設けている。今夏は県内18市町村で過去最多の計677施設(5日時点)が協力し、外出中の人が暑さをしのぐために休めるスペースを用意している。今年は新たに、市町村が指定する「クーリングシェルター」と、大分市独自の「涼みどころ」も登場した。県は「暑さで体調を崩す前に利用してほしい」と呼びかけている。
県によると、一時休憩所は2014年から実施。昨年は572カ所だった。例年は7~9月に開いているが、気温の高い日が早まっていることもあり、今年は6月中から設けた。
誰でも利用でき、県のマスコットキャラクター「めじろん」が描かれた青いのぼりやポスターが目印。県のホームページにも場所を掲載している。
大分市府内町の田崎洋酒店は、冷房の効いた店内に座って休憩できるスペースがあり、塩分・水分補給ができる商品も扱う。店主の田崎一彦さん(78)は「暑い日は気軽に立ち寄ってもらえれば」と話す。
新たにできた「クーリングシェルター」は気候変動適応法に基づく避難施設。極めて危険度の高い暑さが予想される時に環境省が発表する「熱中症特別警戒アラート」が出た場合に開放する。
県内各市町村によると、5日時点で大分、佐伯、宇佐、九重、玖珠の5市町が指定済み。いずれも公共施設で、大分市と佐伯市は民間施設も募集している。このほか、一時休憩所をシェルターとして利用することを検討している自治体もある。
「涼みどころ」は大分市が休憩所として指定。危険度の高い「熱中症警戒アラート」の発表時に開放する。5日時点で、市と民間の計38施設が対象。
熱中症は晴れた日だけでなく、雨で湿度の高い時も注意する必要がある。県健康政策・感染症対策課は「身を守る対策の一つとして休憩所も知っておいてほしい」と話した。
<メモ>
「熱中症特別警戒アラート」は気候変動適応法の改正に伴い、環境省が今年4月から運用を始めた。県内では14の観測地点全てで、気温や湿度などを基にした「暑さ指数」が35以上になると予想される場合、前日の午後2時ごろ発表する。「熱中症警戒アラート」は環境省と気象庁が2021年度から共同運用。県内いずれかの地点で暑さ指数33以上が見込まれる場合、前日の午後5時または当日の午前5時に出す。