学校図書館「学び場に」 塩見氏講演 役割の重要性強調 茨城・日立

学校図書館に期待される役割を語る塩見昇氏=日立市幸町

図書館員や市民らでつくる図書館問題研究会茨城県支部の40周年記念講演会が8日、同県日立市幸町の日立シビックセンターで開かれた。大阪教育大名誉教授で元日本図書館協会理事長の塩見昇氏が、学校図書館をテーマに講演し「学校の中のもう一つの学びの場になり得る」と、その役割の重要性を強調した。

同市で7、8両日に開かれた同研究会全国大会の参加者や市民ら約180人が耳を傾けた。

塩見氏は、学校図書館が戦後改革で制度化された歴史などを紹介。果たすべき役割として「子どもの読書環境の充実と、授業を中心とした教育活動を支える学びの側面の二つがある」と指摘した。学校図書館が備える教育力として、多様な資料の存在や、調べ学習など個別のニーズに対する支援を挙げた。

また、現在の学校図書館法の問題点についても解説し、専門の担い手の必要性を訴えた。全国調査の結果として、子どもの読書活動を支える「学校司書」の9割は非正規雇用で、4割が複数の学校を兼務する実態を紹介。「学校図書館が良い仕事をするには、学校司書が集団として経験値を蓄積し、地域で良い図書館ネットワークを整備することが大事だ」と述べた。

関連企画として同センターではポスター展示を11日まで開催。県内外で数多くの図書館を手がけてきた三上建築事務所(水戸市)の作品紹介や、茨城新聞NIEに関する展示もある。

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