新卒の時に知っておきたかった…「それってやる意味あるんですか?」が口癖の人が「最終的には損をする」これだけの理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

自分が希望していないポジションで仕事をしなければいけないとき、業務とは直接関係ない仕事をお願いされたいとき…つい「それって意味あるんですか?」と言ってしまいそうになるシチュエーションは会社員なら“あるある”かもしれませんが、株式会社シナジーブレインの代表取締役である安田修氏は著書『中学3年生の息子に贈る、学校では教わらない「お金の真実」』(Gakken)の中で「人が嫌がるようなことこそ、引き受けたほうがよい」とアドバイスします。本書から一部抜粋して、若いときにするべき経験とお金の貯め方について解説します。

思い描くキャリアと外れたことも真剣にやれば、何でも役に立つ

「若い時の苦労は買ってもせよ」という言葉があるが、僕はこの言葉があまり好きではなかった。年寄り連中が、自分に都合のよいことを言っているのではないかと思っていたからだ。いや、実は今でも少し、そうなんじゃないかと疑っている。

その上であえて言う。仕事でも何でも真剣に取り組んで、たくさんの経験を積んでおくべきだ。

人が嫌がるようなことこそ、引き受けたほうがよい。人がやりたがらないことをすると、人に喜んでもらえる。人に喜んでもらえることには価値がある。

誰かが嫌がることをするだけで感謝されて、評価されて、お金を受け取ることができる。

僕もサラリーマン時代は、飲み会の幹事をやったり社内で勉強会を主催したりと、誰もやりたがらないことを意識してやってみた。そこで失敗したところで何のリスクもないし、やればやるだけ感謝されるし、よい経験になると考えてのことだ。

気の進まない仕事を任されたときも、何か学べることがあるだろうと全力でやるようにした。このことは今、正しかったと実感している。

人は成長する。子供の成長はとんでもなく早いが、大人になってからも自分の力を少し超えたような経験を積むことで、どんどん成長できるものだ。

慣れ親しんで楽にできることばかりの環境を「コンフォートゾーン(居心地のよい場所)」というが、できるだけ意識してコンフォートゾーンを出ることが、成長をする上では大切。今でもこのことは、いつも実感している。

仕事で受け取れる最大の報酬はお金でも地位でもなくて、経験だ。大きな仕事には、大きな経験がついてくる。

「商品を企画する仕事がやりたいから営業はやりたくない」「この仕事は自分がやりたいことではないから本気を出さない」みたいな人がいるが、これはもったいない。

最初に任された仕事が自分がやりたいものではなくても、真剣に取り組んで、成長の糧にするのが大事。やりたいと思っていなかった仕事でも続けていると、大切さや面白さがわかるものだし、そういう人にはいつか必ずチャンスが回ってくる。

どんなキャリアを歩みたいかを計画しておくことは重要。でも計画から外れたことも、しっかりやっておく。くだらない仕事だと感じたとしても、どこでどう役立つかわからないから。

僕が起業をしてから、サラリーマン時代の地道な経験がどれほど役に立ったことか。ムダな経験など何一つない。起こることには全て意味があると思って、日々を真剣に生きよう。

若いうちからも、経験だけでなくお金も絶対に必要

経験が大事だという話をしたが、お金を貯めることだってもちろん大切。若いうちは給料もそんなに高くないだろうけど、やっぱり大事なんだ。

君はこの先「若いうちはお金を貯めるより、経験に投資しろ」ということをいろんなところで聞いたり目にしたりするだろうが、そんなことに惑わされてはいけない。

もちろん若いうちの経験は大切。でも若いうちから貯金をする習慣を身につけることも、同じくらい大切なことなんだ。

なぜかというと、チャレンジにはある程度のお金がいるから。いずれ君が会社を作ったり、投資をしたりするときにお金は必要になる。お金がなくてもビジネスはできる、というのは本当のことだが、お金があったほうが有利にビジネスをスタートできるのもまた事実。

このように、正しそうに見える言葉にも常に裏の意味がある。自分の頭で考えることをやめてはいけない。

老後の生活費を若いうちから準備するという考え方はバカげていると僕は思うけれど、チャレンジをしたいときにお金が足りなくて断念するのはあまりにももったいない。お金がない状態で起業してしまうと、最初の1ヶ月からとにかく売上をあげることが絶対の目標になってしまうが、数百万円の資金があったらどんなにじっくりと腰をすえて、いろんな実験ができるか。その差はとても大きいよ。

ちなみに、「自分にもっとお金があったら、きっと起業する」なんていう人は、起業する気なんて全くない噓つきだと僕は思う。なら今からでも、お金を貯め始めたらいいのに、なんでしないのか?と疑ってしまう。そんな言い訳をしないためにも、できるだけ早いうちから貯金を始めるんだ。

ここで、お金の貯め方の話もちょっとだけしよう。

多くの人は給料を受け取ったら「まず使って、残った分を貯めよう」と考える。そうすると、どうなるか。給料日が近づいてくる頃には残らずお金を使ってしまっていて、結局は全く貯金などできないということになる。

これは、最初から考え方を間違えている。貯金をするなら、最初に「天引き」でするしかない。決まった金額を、毎月給料を受け取ったらすぐに、貯金用の口座に移す。それで残ったお金で、1ヶ月の生活をしていくんだ。

生活に使ったお金の残りを貯金するか、貯金したあとのお金を使って生活するか。これは同じように見えて全く違う。僕もサラリーマンの頃はこの方法で貯金をしたし、今でも稼いだうちの決まった金額は積み立てるようにしている。

どんなに収入が増えても、天引きでお金を貯める習慣がない人は、稼いだお金を全て使い切ってしまう。稼げば稼ぐだけ、生活レベルが上がるんだ。よい車に乗って、よい家に住んで、よいものを食べる。この「よい」には上限がない。

しかも一度上げた生活レベルは、下げるときに大きな苦痛を伴う。とはいっても、収入が増えても生活レベルを全く上げるな、と言いたいところだが、それも寂しい話だ。

ルールを決めていくらかを貯金して、残ったお金でささやかな贅沢をすればよい。

安田 修

株式会社シナジーブレイン

代表取締役

片桐 了

漫画家・イラストレーター

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