石丸伸二氏の選挙特番での質問者批判に共感広がる「質問力が低すぎ」「愚問」

石丸伸二氏の公式サイトより

東京都知事選の投開票が行われた7日、得票数で2位となった石丸伸二氏はテレビ各局の番組に出演し、キャスターや出演者からの質問内容に疑問を呈するなど対決姿勢を見せた。「ニコニコニュース」のライブ配信では「地上波、何やってるんですか。しっかりしてくださいよ。腑抜けたインタビューさせるんじゃないよ」などとテレビ局への批判を展開する場面も放映され、SNS上では「報道の質が低すぎる」「全般的にコメンテーターは各立候補者の公約を熟知してないと感じた」「質問は何が聞きたいのかわからない」「本人の公約や政策を理解しないまま質問を投げるというひどい内容」などと石丸氏の見解に賛同する声も広まっている。

3選を決めた現職の小池百合子氏をはじめ、前広島県安芸高田市長の石丸氏、得票数3位の前参院議員・蓮舫氏らは7日、投票締切後に放送されたテレビ各局の番組に中継で出演。なかでも石丸氏の言動が注目されている。

日本テレビの公式YouTubeチャンネルで生配信された番組では、社会学者・古市憲寿氏から「世の中を変えるためには、別に政治家にならなくても、できることはたくさんあるわけですよね。起業家であるとかNPOであるとか官僚であるとか、いろんなかたちで社会は変えられます。そこのなかで石丸さんがある種、政治家にこだわる理由は」と質問されると、石丸氏は「こだわってないですよ」と返答。その後、古市氏は「今後のキャリアとして政治家は、あくまでもその一つにすぎないってことですか」「なんで都知事選に出たんですか」「石丸さんが批判する政治屋と石丸さん自身はどう違うんですか」などと質問したが、石丸氏は「同じ質問を繰り返してますよね」「もう一回、言えってことですか」と不快感をあらわにした。

「前提の下りがまったく正しくない」

フジテレビ系の『Mr.サンデー』では、MCのフリーアナウンサー・宮根誠司氏から「残念な結果とはいえ、手応えを感じた選挙戦ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか」という質問を受け、石丸氏は「残念でもなければ、手応えがあったという評価も特にしていません」「メディアがよく注目されているのは、候補個人が“ああだこうだ”という話でしかない。実に些末な視点だなと思います」と返答。また、タレントの山崎怜奈の質問に対しても「前提のくだりがまったく正しくないなというふうに感じました」と指摘し、山崎が「教えていただけますか。すみません、不勉強で」と言葉を濁す場面もみられた。

テレビ朝日が制作に携わるネット番組『ABEMA Prime』では、岸田文雄首相の選出区である広島1区からの国政進出の可能性を示唆している理由について、「総理の選挙区である広島1区を挙げたのは、メディアの皆さんが反応するからだ。布石を置いておけば、解散総選挙の有無から話題になる。そこでメディアの皆さんが騒ぐと、国民の政治に対する興味・関心がまた一段と上がるのではないかと期待している」と説明。今回の都知事選を戦った感想として「立候補するだけではマスメディアが扱わないという、スタートの位置からして後ろに置かれるというのは、安芸高田市長選ではなかった」とメディアへの批判も口にした。

TBSのYouTubeチャンネル「TBS NEWS DIG」の生配信番組では、アナウンサーの質問に対して石丸氏が質問し返したり疑問を呈する場面もみられ、終始かみ合わない様子だった。

<意味ある質問をするのが礼儀>

こうした石丸氏の受け答えをについて、SNS上では批判的な声もあがる一方、メディアに対して以下のような厳しい意見も多数あがっている。

<メディアの質問力の低さが露呈してる>

<コメンテーター 愚問過ぎる>

<インタビュー力には絶句>

<全般的にコメンテーターは各立候補者の公約を熟知してないと感じた。最低限、質問するなら各立候補者の公約や公約に対する裏側も調べて>

<本人の公約や政策を理解しないまま質問を投げるというひどい内容>

<総じて皆おしなべて聞くに耐えないものだった>

<メディアいらない。ひどいにも程がある>

<候補者を平等に報じてこなかったメディアが選挙が終わった後にわらわらと「どうですか〜?」て聞くのどんな報道姿勢>

<ほんとに愚問しかしないなこの人ら>

<わざわざ時間を割くのであれば、意味ある質問をするのが礼儀>

<アナウンサーの愚問が多くがっかりします>

問われる、選挙特番を放送する意義

テレビ局社員はいう。

「大きな選挙があると投開票当日に各局はこぞって選挙特番を放送するが、落選した人に質問する項目というのは『落選した理由』と『選挙戦を振り返ってどうだったか』という2つくらいで、もう選挙戦は終わったので公約の内容について具体的に聞いても仕方がないし、意外に“聞くことがない”という現実がある。なので結局、腑抜けな質問ばかりになってしまう。局アナウンサーがする質問の内容は大枠はスタッフが事前に作成し、定型フォーマット化しており、真新しい質問などは出てこない。ゲスト出演する識者やタレントの質問は本人が考えるが、複数いる候補者の公約を全部、事前に読み込んでいるわけではないので、あいまいな質問が目立つことになる。また、各局に割り振られている時間は限られており、“聞かなければならないこと”だけ聞いて終わってしまうというパターンになりがち。

こうした局側の事情があるとはいえ、視聴者が『無意味な質問しかしないのに、なぜわざわざ選挙特番を放送するのか』と疑問を持つのは当然だろうが、テレビ局としても『他局もやっているからウチもやる』『今までやってきたので、今さらやめられない』という理由で放送しているにすぎない。多大な労力とコストをかけてまで、やり続ける必要があるのかと聞かれれば、必要ないかもしれない。ただ、テレビ局はバラエティやドラマなどさまざまなジャンルを扱うものの、やはり政治や行政をチェックする報道機関という性格が強く、特に国政選挙があれば特番をやるべきという考え方も成り立つので、テレビ局としてもやめるわけにはいかないという事情もあるだろう」

全国紙記者はいう。

「“腑抜けた質問”という点ではテレビ局に限らず新聞など他メディアも同じで、開票結果が出た後に行われる候補者の事務所での合同記者会見では、鋭い質問というのは出ない。一方、落選した候補者は疲労と落胆が重なり、インタビューで苛立ちを隠せなかったり、投げやりな応答をするケースもしばしばみられる。日テレ番組での石丸氏と古市氏のやりとりについていえば、古市氏の質問は何が聞きたいのかよくわからない内容ではあったものの、今後国政に進出する可能性もある石丸氏のキャラクターをさらけ出させたという意味では、良い質問だったといえるのではないか」

© 株式会社サイゾー