「人はなぜ犯罪を犯さないのか!?」犯罪の抑止につながる4つの要因とは?【図解 犯罪心理学】

4つの「絆」が犯罪を抑制する

これまで、人はなぜ犯罪を犯すのか、という観点で考えてきましたが、それとは逆に、「人はなぜ犯罪を犯さないのか」を考えたのがハーシです。

彼はその要因が4つの絆にあると考えました。これを「社会的絆理論」と言います。

最初の絆は「愛着」です。これは、家族や学校、友人に対する愛着が犯罪を抑制するというもので、研究では学校が好きな人ほど非行に走らないという結果も出ています。

ふたつ目は「投資」です。今の生活を手にする過程で勉強や時間など、多くの投資をしています。もし犯罪を犯してしまえば、それらが無駄になってしまうという考え方です。

3つ目は「巻き込み」です。これは簡単に言えば「暇」です。スポーツでも勉強でも、忙しくしている人は悪いことをしている暇はありません。大人であれば仕事の忙しさでしょう。無職の人が犯罪を犯すことが多いのも暇な時間があってのことだと考えられます。

最後は「規範」です。私たちが生活している社会には、法律やルールなどがあり、それによって安全で秩序のある生活が確保されています。自分もその中の一員であり、それを尊重し、守るべきという意識が犯罪の抑止につながっているのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。

昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。

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