東京在住ですが、結婚のため彼氏の住む「地方」へ引っ越すことになりました。「年収500万円」ですが、東京と同じ水準で生活できますか?“生活費”はどれだけ違うでしょうか?

物価と生活費の違い

まず、地方と東京での物価や生活費の違いについて見ていきましょう。

東京の物価は全国1位

総務省が公表している、2023年の消費者物価地域差指数調査によると、図表1のとおり東京都の物価は全国で最も高い水準にあります。全国平均を100とした場合、東京は104.5となっており、平均を上回っています。

一方で、地方都市はほとんどが97~99前後で、最も物価が低いとされているのが指数95.9の鹿児島県です。

図表1

総務省統計局 消費者物価地域差指数 小売物価統計調査(構造編)2023年(令和5年)結果

東京都と地方の生活費を比較

次に、月々にかかる生活費を東京都区部と地方とで比べてみます。前記の物価指数が最も低い鹿児島県と比較することとします。

総務省統計局が2023年に行った「家計調査報告(家計収支編)」を基に、2人以上の世帯(勤労世帯)の月ごとの消費支出の比較は図表2のとおりです。

図表2

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)都市階級・地方・都道府県庁所在市別を基に筆者作成

図表2を見ると、東京都市部の生活費の合計は、36万5747円で鹿児島市の28万9548円と比べると、その差は7万6199円です。1ヶ月で8万近くも支出額が違うと、生活にゆとりができそうですよね。

中でも、食費や教育娯楽費について差が目立ちます。鹿児島市の食費は約7万4000円ですが東京都支部は約10万円で、2万円以上も高くなっています。教養娯楽費も同様に2万円ほど差があります。

これには東京都と地方では物価の違いがあるほか、外食の機会が東京の方が多いことも影響していると考えられます。ランチやディナーの価格設定も東京都区部より地方の方が安いことが想定されます。

住宅の家賃についても、東京都の賃貸マンションより地方の方が価格水準は低く、地方は東京都の半分以下で借りられることも多いようです。

地方生活のメリット

地方での生活は、物価の低さ以外にもさまざまなメリットがあります。主なメリットを2点紹介します。

通勤時間を短縮できる

総務省が実施した2021年の社会生活基本調査によると、東京都の通学・通勤時間の平均は1時間35分で、全国で2番目に長いようです。主に関東地方で通勤時間が長い傾向にあるため、地方に行くと通勤時間が短くなるメリットがあると考えられます。その分余暇時間が増えるため、家族や友人との時間に使うこともできるでしょう。

一方で、地方では移動が車になることも多く、車の維持費や保険などの出費が増えるかもしれません。しかし、大きな買い物や雨の日の通勤などにおいては、車を持つことのメリットも感じることができるでしょう。

自然が豊かでリラックスできる

地方では都会にはない山や海、川などの自然が豊富なことが多く、自然に囲まれた生活によりストレスが減り、心身共に健康的な生活を送ることが期待できます。自然の中でバーベキューやキャンプ、釣りなど、東京とは違う遊びが楽しめるかもしれません。

子どもが生まれた場合も、親子で四季を感じながら自然と触れあい、さまざまな体験をできる点もメリットとなるでしょう。

年収500万円で東京と同じ生活ができるのか

年収500万円なら地方で十分に豊かな暮らしが可能です。むしろ、東京より充実した生活を送れる可能性が高いでしょう。

地方は東京より物価が低く、月々の生活費を安く抑えられる可能性が高いです。月8万円ほど生活費を浮かすことも期待できるため、その分を貯蓄や投資に回すことも可能です。これにより将来のための資金を効率的に蓄えることができます。

さらに、好みの問題ではありますが、地方ならではの自然に囲まれた生活や、地域コミュニティの温かさなども大きな魅力です。子育て世帯にとっても、心強い味方になるのではないでしょうか。

出典

総務省統計局 消費者物価地域差指数 小売物価統計調査(構造編)2023年(令和5年)結果
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年 二人以上の世帯 詳細結果表
総務省統計局 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果

執筆者:渡邉志帆
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