岩佐歩夢、ロングラン中心の最終日は充実の100周超え。マシンに自信も「トップとは言い切れない」/SF富士テスト

 7月7日から8日にかけて富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式テスト。TEAM MUGENから参戦する岩佐歩夢は、2日目午前のセッション3では19周目に1分23秒155をマークし2番手タイムを刻んだが、目を見張ったのは2日目の周回数だった。

 初日も計73周(セッション1:39周/セッション2:34周)と比較的多い方であったが、2日目では、セッション3に45周、セッション4に60周、計105周と頭ひとつ抜ける周回数となった。テスト後に記者から2日目は100周を超えたと伝えられると「そうなんですか」と少し驚いた表情を見せた。

■進んだ富士習熟。終盤は「ラインによってグリップ感が違った」

 2日目のロングランについて、もともとプランとして決まっていたようで、特にセッション4序盤の30周のロングランに関しては「チームとしてのテストアイテムとタイヤのデグラデーションなどのいろんな部分をまず1回目(のロングラン)でチェックしようということで、長めにいきました」とその意図を語った。

 自身初走行となる富士への理解も深まったのでは、という問いには「あとタイヤもさらに理解が深まったというか、また新たな発見もできたので、その辺は大きな収穫だったんじゃないかなと思います」と、コースの習熟以上のものがあったと答えている。

「いろいろなセットアップを試すごとに合う合わないラインもありました。2日間の中で、路面のコンディションも結構変わっていったと感じていて、路面のグリップが落ちて行ったときに、どこが路面の落ち度が少ないのか、逆にここを通って行ったらさらに落ち度が酷いのか、と試しました」

「最後のラバーが載って路温がさらに上がってきて、ニュルニュルしてきたコンディションに関しては、ラインによってグリップ感が違ったので、そこはいい発見でしたね。ロングだからこそできるトライの仕方をしていました」

2024スーパーフォーミュラ富士公式テスト 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

 ロングランのタイムの推移に着目すると、1分25秒台で走り出すものの10周満たず27秒台に落ちてしまう車両が見られた中、岩佐は30周のロングランでは最後まで1分25秒台から26秒台をキープし、そのあとの2度のロングランでも同様に1分26秒台から落ちることはなかった。

 安定していたラップタイムではデグラデーションの影響は少なそうに見えたが「タイヤのデグラデーションはやっぱり大きいです」と話し、「純粋なゴムのタレや摩耗ではなくて、ヒートデグラデーションですよね」と暑いコンディションの影響であることを明確に言及している。

「海外のタイヤでも経験してきたので、ヒートデグラデーションに対しては、クルマよりもドライバー自身でカバーをしようと、SFに乗り始めたころから重点に置いているところです。タイヤマネジメントには結構自信があるので、それができている分、コンスタントにラップは刻めているというリザルトにはなっていると思います」と続ける。

「(ロングランの)ラップタイムの上下があったと思うんですけど、原因としては単純にいろいろ試している中での振れ幅だったので、そこでいい悪いを判断していた状況です」

 ヒートデグラデーションへのカバーについては、通常のデグラデーションの特徴が暑いコンディションの影響でより大きく現れるものとし、「自分が経験してきたことをうまく応用させて(変化の度合いを)アジャストしていったという感じです」と岩佐は説明している。

 2日間のテストを終えて「ロングランもショートランも悪いところにいないのかな」と振り返る岩佐だが「一発のニュータイヤのパフォーマンスに関しては分からない部分も多いです。(他車と)違うコンディション、タイミングでニュータイヤを入れたりしたので、正直トップとは言い切れないですね」と楽観視できる状況ではないと語った。

「コンディションによって速いチームも結構変わったりもしてたので、自分たちは変わったコンディションに対してうまくアジャストできないと、ポールだったり予選でいいポジションは取りきれないんじゃないかと感じでいます」

「各チームも間違いなくステップは踏んできているのは感じています。ただ自分たちも伸びしろがないわけではないですし、TEAM MUGENとしては、強い状況にいると思うので、そこをしっかり伸ばせるように、何をやるべきか分析して進めていきたいと思います」と、岩佐は第4戦に向け気を引き締めつつ、テストには満足している様子だった。

2024スーパーフォーミュラ富士公式テスト ピット練習の様子 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)

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