【函館2歳S】「前走1番人気」は単回収率195% 前走内容や血統背景も申し分ないニシノラヴァンダを推奨

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は7月13日(土)函館競馬場で行われる函館2歳Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:当日人気より重要な前走人気

函館2歳Sは「前走1番人気」というデータが非常に強力だ。『前走が人気したなら今回も人気するだろうから、妙味も薄くなるだろう』と考えられがちだが、前走の勝ち方次第では思っていたほどではない。と思われるのか妙味あるオッズになりやすい。加えて、新馬戦から1、2走の内容に人気が左右され、デビュー以前の評価は無視されやすいのも要因だろう。

前走1番人気の成績は【6-6-5-35】で単勝回収率が195%、複勝回収率が127%だ。対して2番人気以下は【4-4-5-83】で単勝回収率24%、複勝回収率73%。今回上位人気が予想されるエンドレスサマーは前走2番人気だったため、好データには該当しない。

【前走1番人気の出走予定馬】
・オカメノコイ
・サトノカルナバル
・チギリ
・ニシノラヴァンダ
・ヒデノブルースカイ
・ヤンキーバローズ

前走の内容:新馬戦のニシノラヴァンダ

ニシノラヴァンダの前走は新馬戦1着。この日の函館競馬場は時計が出やすい馬場状態だったとはいえ、同馬の勝利したレースの勝ちタイムは1分9秒3。この時計は非常に優秀で後続に0.7秒差をつけた楽勝だった。逃げて上がり2位だから前回のメンバーで実力が抜けていたのは明白。今回のメンバー相手でも勝負になるだろう。

血統解説:サトノカルナバル、ニシノラヴァンダ

・サトノカルナバル
日本での牝祖は母リアリサトリス。母自身は競走馬としての実績はそこまで残せていないが叔父Rouvresはジャンプラ賞(GⅠ・芝9F)を勝利している。ファミリーとしてはスピード性能が高く、芝のスプリントなどマイル以下に適性が高いことが多い。

全兄のジャスティンスカイは現在、短距離で活躍しているJRA・6勝のOP馬。2、3歳時こそ中距離を使われていたが、古馬になって母系の血が濃くなってきたのかスプリント戦線に転向した。

本馬も兄同様、初戦から素質の高さを見せており、ゆくゆくはOPを狙える逸材だろう。兄以上に前進気勢が強く、走り方を見てもマイル以下に適性がある。牝系の活力や馬体の完成度を考えればここでも上位争い可能だ。

・ニシノラヴァンダ
日本での牝祖はプルージャ。母は競走馬として亜GⅡ競走を勝っている実績馬だ。半兄エルゲルージ(父ドゥラメンテ)はダートでJRA・4勝をあげているOP馬であり、繁殖としても一定の実績をあげている。本質的にはダートでパワーを使いながら一定のラップを刻むのが得意な一族だが、本馬は牝馬かつ2歳ということもあって筋肉がまだまだ柔らかい。

父がサトノアラジンでよりスピードタイプに出ていて、芝1200mという条件はぴったりだ。加えて、小さな馬格のわりにパワーがあるタイプで函館競馬場の洋芝も全く苦にしない。初戦の勝ち方からどこまで人気になるか分からないが、ここは期待できる。

Cアナライズはニシノラヴァンダを推奨

今回のCアナライズではニシノラヴァンダを推奨する。「前走1番人気」の好走データに合致し、前走内容から今回のメンバーでも力は十分通用する。血統的にもOP馬エルゲルージの半妹で活力は十分。小柄な牝馬で仕上がりは早く、この時期なら牡馬相手でも引けを取らないだろう。

相手で注目したいのはサトノカルナバル。こちらはOP馬ジャスティンスカイの全弟で期待度は高い。好走データとの合致、血統的背景からも勝ち負けの可能性はある。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。



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