森口博子「ANISON COVERS 2」元ネタ解説!オリジナルはどんなアニソンなのか知ってる?  森口博子の人気シリーズ「ANISON COVERS 」の第2弾がもうすぐリリース!

大人のためのアニソンカバーアルバム「ANISON COVERS」

森口博子が8月7日にカバーアルバム『ANISON COVERS 2』をリリースする。

森口は昨年5月24日に "大人のためのアニソンカバーアルバム" として『ANISON COVERS』をリリース。『めぞん一刻』の主題歌「悲しみよこんにちは」や、『機動戦士パトレイバー』のオープニングテーマ「そのままの君でいて」など、名高いアニソンナンバー11曲を、生楽器を中心にしたリアレンジでレコーディングし、好評を博した。今回はその第2弾となる。

森口博子といえば『機動戦士ガンダム』関連の楽曲が名高い。何より歌手デビュー曲が1985年、キングレコードのスターチャイルドからリリースした『機動戦士Ζガンダム』の後期オープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」で、91年には劇場版アニメ『機動戦士ガンダムF91』の主題歌「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」を大ヒットさせ、以降もガンダム関連の主題歌を何作も発表。2019年にはガンダムシリーズの主題歌のみを集めたカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS』をリリース。好評によりシリーズ化され、これまでに3作が発売されている。今回の『ANISON COVERS 2』も、森口の歌手キャリアの大きな軸であるガンダム関連作から派生した企画と言えるであろう。

今回の収録曲は全10曲。その中で注目すべき作品をいくつか取り上げ、オリジナルはどのような曲だったのかを紹介していきたい。

オリコンチャート最高6位の大ヒットとなった「想い出がいっぱい」

まずはH2Oが歌って大ヒットを記録した、フジテレビ系アニメ『みゆき』の主題歌「想い出がいっぱい」。先日行われた『80年代アニメソング総選挙!ザ・ベスト100』でも9位にランクインした人気曲で、歌うH2Oは『みゆき』を制作したキティ・フィルムのグループ会社Kitty Records所属の男性フォークデュオ。80年にキティ制作の映画『翔んだカップル』の主題歌「ローレライ」でデビューし、そのテレビドラマ版の主題歌「僕等のダイアリー」をヒットさせていたが、その後はヒットに恵まれなかった。起死回生を図り、自作曲ではなくプロの作家に依頼し、阿木燿子作詞、鈴木キサブロー作曲による本作でオリコンチャート最高6位の大ヒットとなった。

現在ではアニソンの枠を超え、合唱コンクールの課題曲や、卒業ソングとしても愛される作品となっている。森口によれば、今回のアルバム制作で、この曲の仮レコーディングの際に、感極まって歌えなくなり、一度中断したという。また、どこを切り取ってもサビになるくらい素晴らしい曲だとも語っていた。

「シティーハンター2」の世界観にマッチした「STILL LOVE HER(失われた風景)」

やはり『80年代アニメソング総選挙!ザ・ベスト100』で8位に輝いた、TM NETWORKの「STILL LOVE HER(失われた風景)」。こちらは『シティーハンター2』のエンディングテーマで、この時期小室哲哉が多忙だったため、新曲ではなくすでに発売されていたアルバム『CAROL〜A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991〜』の収録曲からの採用となった。小室哲哉がロンドン滞在中の心象を歌詞にしたものだが、アニメでは新宿の実写映像が重ねられ、見事なほど『シティーハンター2』の世界観にマッチした作品となった。

90年代以降の作品では、1992年に放送されたフジテレビ系アニメ『幽☆遊☆白書』のオープニングテーマ「微笑みの爆弾」も90年代を代表するアニソンの1曲だ。オリジナル歌唱者は馬渡松子で、作曲・編曲も馬渡が手がけている。彼女はソロデビュー前にDREAMS COME TRUEのサポートメンバーを経験しており、当時は「ティナ馬渡」の名でキーボードとコーラスを担当。2年後にソロデビューを果たし、そのシングル2作目が「微笑みの爆弾」だった。ポップな中にR&Bの要素をいれ、さらに子ども層にどう聞いてもらうかを苦心しながら作ったそうで、最後のフレーズ “ア・リ・ガ・ト・ウ・ゴ・ザ・イ・ます!" のインパクトが強く印象に残る。

「おどるポンポコリン」のカップリング曲としても名高い「ゆめいっぱい」

現在も放送が続いている国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の初代オープニングテーマ「ゆめいっぱい」。織田哲郎の作編曲で関ゆみ子のボーカルで発表され、同アニメのエンディングテーマとして特大ヒットを記録したB.B.クイーンズ「おどるポンポコリン」のカップリング曲としても名高い。リリースは数週間ほどB.B.クイーンズ版のほうが先だが、放送では関ゆみ子のバージョンが使用されている

さらには、こちらも90年代アニソンの名作、MAHO堂の「おジャ魔女カーニバル!!」。こちらは99年から東映アニメーションが断続的に制作している魔法少女アニメ『おジャ魔女どれみ』のオープニングテーマ曲。MAHO堂は声優ユニットで、この曲の際は、千葉千恵巳、秋谷智子、松岡由貴のトリオであった。2019年にはソニー・ミュージックエンタテインメントのアニソン人気投票『平成アニソン大賞』でキャラクターソング賞に選出されており、発表から20年を経過してもなお、根強い人気を誇る楽曲である。

庵野秀明が総監督を務め、監督に樋口真嗣も参加、キャラデザに貞本義行、音楽に鷺巣詩郎が関わったNHKのテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』のオープニングテーマ「ブルーウォーター」も、アニソン好きの心をくすぐる名曲だ。1990年に森川美穂のボーカルでリリースされ、これまでにカバーも数多いナンバーである。

大人のアニソンとして「BE FREE」をセルフカバー

こういった楽曲群に加え、今回は森口博子自身が主題歌を担当したサンライズ制作のテレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』のエンディングテーマ曲「BE FREE」をセルフカバーしている。6作目のシングル「サムライハート」とのカップリングで88年9月にリリースされており、原曲は爽やかなポップナンバーに仕上がっているものの、聞き込むほどに奥深い歌詞の内容を、今回、森口自身が "大人のアニソン" として改めて歌うことになった。

収録曲はいずれも森口博子が少女時代、あるいはアイドル歌手時代に流れていたアニソンが中心となっている。大人のシンガーに成長した森口が、これらのナンバーを新たな解釈をもって歌う時、楽曲に新しい光が当たり、大人になった聴き手にどのように届けられるのか。今から8月のリリースが待ち遠しい。

Information ▶︎ANISON COVERS 2 特設ページ https://cnt.kingrecords.co.jp/ANISONCOVERS2/

カタリベ: 馬飼野元宏

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