もういくつ寝ると…。待ち遠しくて、替え歌を口ずさむ子もいるだろうか。夏休みが近づいた。旅行先でどんな体験ができるかと期待を高めているかもしれない。大人はしかし厳しい現実に直面する。夏休みの予算を減らす人が多いという▲日本生命のアンケートに約半数が「自宅で過ごす」。2位の国内旅行を大きく引き離した。旅行大手JTBの推計では、この夏に旅行へ出かける人は昨年を4・1%下回る。子どもたちの膨れっ面が目に浮かぶようだ▲出かけない理由として「混雑する」に「家計に余裕がない」の声が続いた。物価高が響いているらしい。きのう株価は史上最高値を更新したというのに、実質賃金は26カ月連続で減っている。夏休み予算が削られるのも無理ないか▲「夏休みはなくていい」「短い方がいい」。驚かされる声が小中学生を持つ困窮世帯の6割から聞かれた。子どもの貧困対策に取り組むNPO法人のネット調査。子どもが家にいると生活費がかかるという理由が多い▲食費や電気代を考えると、夏休みが悩ましい家庭もある。何とも切ない。わくわくする夏を子どもたちに送らせる―。そんな「予算」もこの社会は実現できないのか。
