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立命館大学OIC(大阪いばらきキャンパス)では、2024年4月の情報理工学部・研究科と映像学部・研究科の移転を機に新棟を開設した。集う人々の挑戦を後押しする「TRY FIELD」をコンセプトに、学生や地域、企業の交流と共創を生み出すべく、OICがめざす新しい大学像に迫る。
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新生OICがめざす
今後の学びを形づくること
2015年に開設された立命館大学大阪いばらきキャンパス(以下OIC)が、新たに生まれ変わる。滋賀のびわこ・くさつキャンパスから情報理工学部・研究科、京都の衣笠キャンパスから映像学部・研究科を移転。6学部7研究科に、1万人超の学生が集う一大教育・研究拠点が誕生するのだ。
また、立命館常務理事の山下範久教授(グローバル教養学部)が
「ここが教育・研究の拠点であることはもちろん、今後は『これからの学びの形をつくっていく』役割も担うことになります」
と語るように、OICには学部移転だけに留まらない、注目すべき理由がある。それが革新的な設備を複数備えた新棟「H棟」の存在だ。コンセプトは、新たな物事に挑む人々を後押しする空間を意味する「TRY FIELD」。情報理工学部と映像学部の移転により可能になった「デジタルとクリエイティブの融合」により、社会課題を発見して解決手段を生み出し、実装する場にしたいという。
先端的施設がもたらす
学びと共創の加速
H棟にある施設のうち、三宅雅人教授(社会共創推進本部長)が「最もチャレンジングな設備」と語るのが、ひな壇状の大教室「ラーニングインフィニティホール」だ。各ブースにモニタやカメラ、マイクなどが設置され、教壇や他のブースのほか、オンラインによる外部との接続も可能だ。国内外の大学でもかなり珍しい設備だけに、グループごとにオンラインで別の専門家と対話し、討論につなげるなど多様な可能性が期待できそうだ。
5階以上に入居する情報理工学部の特徴は、法定幅より2mも広い「デモストリート」。LANや電源も備えた通路で、ロボットなどの成果物のデモンストレーションや研究へのアンケート募集などに利用できる。
「通路幅を広げると同時に、各研究室はガラス張りにしました。『閉じた空間』の印象が強い研究室の活動を可視化することで、新たな展開の誕生を期待しています」(三宅教授)
映像学部には、国内の大学で初めてドルビーアトモスを導入したシアター教室、映像や効果音収録専用のスタジオのほか、ライブストリーミングもできるグリーンバックの映像合成用スタジオ「LIST」など、最先端の技術を駆使した施設が揃う。
共用スペースも同様に、斜めの動線により学生同士の出会いと交流を促進する、吹き抜けが印象的な「イノベーションラウンジ」や、個人からグループまで3段階の学習人数に合わせたフリースペース「コネクティッドラーニング・コモンズ」など、共創を生み出す工夫が詰め込まれている。
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地域社会とともに成長する
開かれたキャンパス
さらに特筆すべきは、この「TRY FIELD」で挑戦を後押しするのが、同校の学生や教員、研究者だけではないということだ。そもそもOICには塀がなく地域に開かれたキャンパスという特徴があるが、H棟の完成後は、企業や行政、地域の人々がともに活動し、社会課題の解決を図るという、今まで以上の「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」をめざしていく。
その一環として、日本マイクロソフト社やAdobe社と連携協定を締結。地元企業や茨木市・大阪府など自治体との連携を強化し、デジタル人材の育成やスタートアップ創出事業を共同で展開する。そんな人々が活動する場が「クリエイティブ・コンプレックス」棟だ。エントランスの「テラスゲート」に設置された350インチ大型ビジョンでは学内の取り組みを広く発信し、「SP LAB」や「SP LAB X」などのスペースでは、VRやXRといった先端研究の成果を外部と共有する。1階には先のDX人材育成を目的とした日本マイクロソフト社の「Microsoft Base」が入居し、「共創空間」となる「SEEDS」では、企業や地域からのさまざまな課題を持ち寄ることができる。専門家や研究者、そして学生を巻き込んだ議論が、本格的な共同研究へと繋がる可能性もあるということだ。
OICと「クリエイティブ・コンプレックス」の面白さは、先進的なデジタル技術を活用した学びや実験が行われるすぐそばに、ペットや子ども連れの地元民の日常が存在する点でもある。目的や背景、世代を問わず受け入れる懐の広さが感じられるのだ。
「OICには多くの学生が生み出すパワーがあり、幅広い学問分野の専門家も集まっています。企業や自治体、地域の人たちが気軽に集い、つながりながら『共創』に取り組むというプロセスは、OICの更なる成長にもつながると考えています」(三宅教授)
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