納豆を食べるベストタイミングは? 朝昼晩それぞれのメリットを栄養士に聞いた

ヘルシーといわれる納豆(写真はイメージ)【写真:写真AC】

7月10日は納豆の日。健康のために毎日、納豆を食べている人もいるでしょう。栄養豊富ということは知っていますが、納豆を朝・昼・晩のどのタイミングで食べると、どんなメリットがあるのでしょうか? 記念日にちなみ、納豆を食べるベストタイミングをテーマに、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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納豆がヘルシーで体に良いといわれる理由

納豆は蒸した大豆を納豆菌によって発酵させた日本の伝統食品です。別名「畑の肉」と呼ばれる大豆が原料なので、私たちが健康を維持するために必要不可欠なたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの「5大栄養素」が豊富です。とくに、アミノ酸価100の良質たんぱく質は肉に劣らず、筋肉や内臓など体の組織を作る成分として欠かせません。

また、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きで、更年期障害や骨粗しょう症、男性の前立腺がんなどの予防が期待される大豆イソフラボン、血管を正常に保って動脈硬化などの生活習慣病予防や脳の活性化が期待できるレシチンなどの成分も含まれています。

納豆特有の発酵によって生成されるナットウキナーゼは、血栓予防効果で血流をサラサラにしてくれることで注目されています。発酵によって消化吸収も良くなるので、胃腸に優しい食品です。

納豆は栄養価が高いにもかかわらず、エネルギーは低い傾向にあります。そのようなことから、ヘルシーで体に良いといわれるのでしょう。

納豆を食べるタイミングはいつが良い?

栄養豊富な納豆を健康のために毎日食べているけれど、朝・昼・晩のうち、いつ食べるか迷っている人もいるかもしれません。もちろん好きなときに食べて良いのですが、タイミング別にどんな栄養メリットがあるかについて解説していきたいと思います。メリットを知って、ご自身のベストタイミングで納豆を味わってみてはいかがでしょうか。

○朝食で納豆を食べるメリット
良質たんぱく質が豊富な納豆と、炭水化物を主成分とするごはんなどの穀類と組み合わせることで、バランスの良いエネルギー補給に。発酵食品であるため消化吸収が良く、レシチンが起き抜けの脳の働きをサポートし、仕事や勉強の集中力を高めます。

納豆に含まれるトリプトファンは、精神を安定させる幸せホルモンといわれるセロトニンの原料です。セロトニンは、夜になると睡眠を促すメラトニンに変わります。朝に納豆を食べると、その日の夜に質の良い睡眠の助けになるでしょう。

○昼食で納豆を食べるメリット
納豆のレシチンが疲れ始めた脳の働きを活性化し、午後からの仕事や勉強の集中力を高めてくれます。また、食物繊維が豊富なので満腹感が得られ、間食を防ぐ助けになるでしょう。夕方になると空腹で甘い物に手が伸びてしまう人、ダイエットが気になる人は、昼食に納豆というのも選択肢のひとつです。

○夕食で納豆を食べるメリット
ナットウキナーゼは、血液をサラサラにすることで注目されています。一般的に血栓は夜中にできやすいといわれているので、夜に食べることで血液循環を良好に保つことができるでしょう。また、納豆のビタミンKはカルシウムの吸収を助けて骨を強くする成分です。とくに夕食で摂取することで、夜間の骨代謝を促進します。納豆菌が腸内環境を整え、翌朝の快便が期待できるでしょう。

適量をおいしく、効果的に食べよう

栄養価の高い納豆ですが、ビタミンCは含まれていません。薬味でネギをたっぷり加えると補うことが可能に。ネギには血流促進効果があるため、相乗効果にも期待できます。

納豆ごはんだけでなく、サラダやトースト、スープやみそ汁などに加えてバリエーション豊かにすると、飽きずに毎日食べられるでしょう。ただし、納豆を加熱調理すると、ナットウキナーゼなど熱に弱い健康成分の働きが損なわれてしまいます。納豆は調理の最後に加えるか、トッピングとして使用するのが効果的です。

1日の納豆の適量は、1パック(約50グラム)程度です。体に良いからといって過剰摂取は控えましょう。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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