中国貴州省で国家1級保護植物「梵浄山モミ」の野生復帰試験

中国貴州省で国家1級保護植物「梵浄山モミ」の野生復帰試験

梵浄山国家級自然保護区で撮影した梵浄山モミ。(2023年6月10日撮影、銅仁=新華社配信/楊焱氷)

 【新華社貴陽7月10日】中国貴州省銅仁市の梵浄(ぼんじょう)山国家級自然保護区管理局はこのほど、国家1級保護植物「梵浄山モミ」の保護を強化するため、人工的に育てた梵浄山モミの苗120株を野生に復帰させる試験を始めたと明らかにした。

 苗の育成を手がけた貴州省林業科学研究院の楊焱氷(よう・えんひょう)研究員によると、梵浄山モミは第四紀氷河時代の遺存植物で、同自然保護区に小面積の群落をつくり、垂直分布帯を形成している。植物区系や植生地理学、古気候などの研究をする上で重要な科学的価値がある。

中国貴州省で国家1級保護植物「梵浄山モミ」の野生復帰試験

梵浄山国家級自然保護区で撮影した梵浄山モミ。(2023年6月10日撮影、銅仁=新華社配信/楊焱氷)

 梵浄山モミは個体数が少なく、分布範囲が狭い。個体群の樹齢構成が偏っており、幼齢木が少なく、自然更新が難しいなどの状況にある。

 自然保護区の管理局は同研究院を技術支援機関として、梵浄山モミの保護に向けた新たな研究を2022年に開始。研究員が試験を重ね、梵浄山モミの挿し木や種子繁殖の難題を克服し、幼苗千株余りの育成に成功した。丈夫で病虫害のない苗を選んで原生環境に戻し、生育状況を継続的にモニタリング(監視)、記録していく。(記者/李黔渝)

中国貴州省で国家1級保護植物「梵浄山モミ」の野生復帰試験

梵浄山モミの幼苗。(2024年3月23日撮影、銅仁=新華社配信/楊焱氷)

© 新華社