“ひと手間”惜しまぬ精神で77年 兵庫・加古川の老舗パン店 カフェ限定食パン通じて地元農業支援も

加古川の老舗パン店 限定食パンは地元農業支援にも

パンを買うとき、あなたが大切にするポイントは何でしょうか? 味? 素材? それともボリューム? 今でこそ色々な選択肢がありますが、1947年の戦後復興期には、大変な食糧難を背景に「食べられたらそれでいい」「味や質は問われない」「お腹が膨れれば」という考え方がありました。

【写真】見た目ユニーク! 兵庫・加古川の老舗パン店の看板商品 フードセレクションで金賞獲得

そんな時代に、あえて“小さくてもおいしい”パンを作ることを目指して創業。現在も地元の人たちから愛されるパン店が兵庫県加古川市にあります。

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今から77年前、JR加古川駅前に店を構えた「ニシカワパン」。昔ながらのパン作りにこだわり続けています。

注目のその製法について、ニシカワ食品株式会社代表取締役副社長の西川裕順さんは「機械化が進む現代ですが、ニシカワパンでは今も職人による手包み・手まるめを大切にしています」と話します。手作業することで、パンのふんわり感が引き立つのだとか。機械製造のみとは違う、“ひと手間かけたパン作り”を心がけているそうです。

そうした、企業としての姿勢や創業当初から受け継がれる味わいが評価され、2023年9月には、ロングセラー商品である「にしかわフラワー」がジャパンフードセレクション金賞を獲得しました。

小さな販売店からスタートした同店は、時を経て現在は直営ベーカリー事業も手がけるようになりました。

その中の一店舗「パントアーウ」は、“人と人とが出会える場所”“パンに合う本格的なドリンクが味わえる場所”など、様々な「あう」をコンセプトにしています。

また、加古郡稲美町に展開する店舗「パン・ド・ミ」は、憩いの場の少ない稲美町で地域の人たちの交流の場、そして安らぎの場として親しまれているといいます。

これらの店舗では、地域の農業支援につながる活動も行われています。

パントアーウ、パン・ド・ミでそれぞれ限定販売している食パンに、同社創業の地である加古川産の小麦粉「ゆめちから」と兵庫県産の「せときらら」が100%使用されているのです。熟考を重ねたレシピで焼き上げられるこれらの食パンはまさに、素材と素材、素材と職人の腕が“出会って”もたらされる特別な一品と言えそうです。

西川さんは「地元を盛り上げる活動に、これからも力を入れて取り組んでいきたい」と今後の展望を語りました。

※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』より

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