【GTMF 2024】LQA効率化「WOVN」/「Wwise」新バージョン/大規模リアルタイム通信「Diarkis」【展示レポート Part1】

【GTMF 2024】LQA効率化「WOVN」/「Wwise」新バージョン/大規模リアルタイム通信「Diarkis」【展示レポート Part1】

2024年7月9日、東京・秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATERにて、ゲーム開発向けのツールやミドルウェアなどのソリューションに特化した展示会イベント「GTMF 2024」が開催されました。

GTMFは2003年に初開催され、本年で19回目を迎える歴史あるイベント。昨年同様、大阪と東京の2会場で開催され、多くのゲーム開発関係者が足を運びました。

本稿では、展示ブースの注目企業を紹介します。

WOVN

Wovn Technologiesが提供するWOVN.gamesは、ゲームに特化したローカライゼーション支援プロダクト。ゲーム画面を見ながら「WordやExcelのような感覚」で翻訳テキストを編集できるソリューションで、編集結果をリビルド不要で即座に反映したり、ゲームのスクリーンショットから直接翻訳を修正したりといったことが可能です。

翻訳支援プロダクトは市場に数多くあるものの、ゲームに特化したものは他になく、機能面については大手ゲーム企業の担当者からも「ゲームのローカライズに精通している人でなければ思いつかない」という反応をもらったといいます。

またAIを活用した翻訳作業について、Product Ownerの藤村弘也氏は次のように話します。

最近のAI翻訳サービスでは、80%~85%くらいを翻訳できます。しかし、残りの15%~20%を人の手で埋めるとなれば、結局大がかりなテストなどが発生し、手間を削減できなくなってしまう。我々のプロダクトは、そこを解決することにも適したプラットフォームです。我々自身がAIを活用しているわけではありませんが、AI翻訳サービスを提供している他の事業者さんと協業しながら、今後はさらにこの分野に力を入れていきます

公式サイト:https://mx.wovn.io/product/games

Audiokinetic

Audiokineticは展示ブースにて、同社の提供するオーディオミドルウェア「Wwise」の最新バージョン「Wwise 2024.1」を先行展示していました。

説明によれば、今回のバージョンアップにより、これまでデザインが変わらなかった部分を含め「画面デザインの大幅な変更」が適用されるとのこと。従来のユーザーにとっては使い勝手が大きく変わる可能性のあるバージョンアップですが、長期的に見た使い勝手の向上を目指した「近代化」であり、「お客様とコミュニケーションも取りながら、修正できる部分は修正しつつ、慣れていっていただきたい」との説明がありました。

先行展示された「Wwise 2024.1」画面

「Wwise 2024.1」は年内リリース予定です。

公式サイト:https://www.audiokinetic.com/ja/

Diarkis

Diarkisは、リアルタイム通信エンジンを提供する企業。バンダイナムコエンターテインメントの『鉄拳8』の事例では、オンラインプレイにおけるマッチングおよび対戦時の同期通信を担っているといいます。

「Diarkis MatchMaker」によるマッチングにおいては、プレイヤーのレベルの差や物理的な距離をはじめとするさまざまな要件に対応できる自由度が強みだといいます。また、プレイヤーの端末同士で通信する「Diarkis P2P」が何らかの理由で成立しない際には、サーバー経由の「Diarkis Room」に自動で切り替えることも可能です。

「Diarkis Field」では、大規模MMOタイトル等においてユーザーごとにワールドが分かれることなく、ひとつのワールドで全ユーザーが遊ぶことができます。これは、ひとつのワールドをグリッド単位で分割し、サーバーのスケールにあわせてグリッドもスケールすることでクライアント数に合わせた自動スケールイン/アウトを実現しているため。独自の技術を使用したこの「Field」は導入事例もますます増えてきているとのことです。

公式サイト:https://welcome.lp.diarkis.io/

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