能登の漆器で復興応援 盛岡・セーブイワテが譲り受け販売

「地震を乗り越えた伝統の器で、能登を思いながら食事してほしい」と願う寺井良夫理事長

 能登半島地震の被災者を支えている盛岡市の復興支援団体セーブイワテ(寺井良夫理事長)は9日、支援の際に約30世帯から譲り受けた漆器の販売を同市内丸の復興応援の店りあすぱーくで始めた。収益は奥能登伝統の祭り運営費に充ててもらうため、開催地域に全額を寄付する。

 能登地方では秋の祭りに合わせて親戚が集まり漆器で食事をする習慣がある。器は各家庭で木箱に入れて代々受け継がれ、古くは江戸、明治時代の物も。こうした漆器の100点以上が発売日に購入され、能登への善意にあふれた。

 同団体は石川県珠洲(すず)市などで倒壊した家屋の片付けを手伝い、大量の輪島塗漆器が廃棄されそうになっているのを目撃。家の解体や仮設住宅への引っ越しで保管できないことに心を痛め「使ってもらえる人に販売し、能登の復興に役立てたい」と申し出た。

 譲り受けた約600セットのうち約400セットを盛岡に持ち帰った。中には納屋に眠っていた漆器もあり、職員が半月かけて磨き直した。御膳1人前(3300円)、おわん(660円)などを販売。次回の被災地支援の際に残る200セットを持ち帰る予定で、なくなり次第終了する。

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