「代わりを見つけるのは難しい」ジョージの退団にクリッパーズ指揮官は失望を隠せず「組織にとって厳しいこと」<DUNKSHOOT>

ロサンゼルス・クリッパーズは今夏、ラッセル・ウエストブルックがプレーヤーオプションを行使し残留、完全FA(フリーエージェント)のジェームズ・ハーデンと2年7000万ドルで再契約を締結。MVP経験のある2人のスターの引き留めに成功した。

その一方で、2019年からカワイ・レナードとともにチームを支えてきたオールスター選手のポール・ジョージはプレーヤーオプションを破棄して完全FAとなり、フィラデルフィア・セブンティシクサーズと4年2億1200万ドルの大型契約を締結。

ロサンゼルス出身のジョージは、自身のポッドキャスト番組『Podcast P with Paul George』で「LAを離れたくなかった。故郷だしここで終わりたかった」と心境を吐露。本人は今年1月に延長契約を結んだ相棒のレナードと同等の条件(3年1億5300万ドル)を望んでいたというが、「最初にチームから提示されたオファーは、敬意を欠いたものだった」ことを理由に、FA市場に参戦することを決めたという。

クリッパーズで過ごした5年間でジョージは263試合に出場し、平均23.0点、6.0リバウンド、4.5アシスト、1.5スティールをマーク。オールスターにも3度選出され、21年のプレーオフではレナードが右ヒザの前十字靭帯で途中離脱を余儀なくされるなか、平均26.9点、9.6リバウンド、5.4アシストをあげ、チームを球団初のカンファレンス決勝に導いている。
そんな看板選手の退団にクリッパーズのタロン・ルーHC(ヘッドコーチ)は失望を隠せず。昨年2月からアメリカ代表のAC(アシスタントコーチ)も務める47歳は、ラスベガスで行なわれている代表のトレーニングキャンプ中に『ESPN』に次のように語った。

「PG(ジョージ)のようなチームにとって重要なピースを失うと、代わりを見つけるのは難しい。契約が成立しなかったこと、彼が戻ってこなかったことに失望している。組織にとって厳しいことだ。ここからどう進んでいくかを考えないといけない。

私は何度も彼と話し、彼の考え方がどうだったか、何を変える必要があるか、彼のプロセスをどのように助けることができるかを確かめようとした。彼が去ってしまったのは残念だ」

主力のハーデンは8月に33歳、ウエストブルックは11月に36歳を迎え、エースのレナードも33歳で故障癖がある。FA戦線では身体能力の高いデリック・ジョーンズJr.、経験豊富なニコラ・バトゥーム、ケビン・ポーターJr.らを獲得するなど積極的に動いているものの、インパクト不足は否めない。

レナード&ジョージ体制で優勝は叶わなかったクリッパーズ。今季から新アリーナのインテュイット・ドームで新たなスタートを切るが、ジョージの退団でリーグ制覇がさらに遠のいてしまったことは間違いない。

構成●ダンクシュート編集部

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