広がる心電図データ伝送 岩手県内の医療現場、救命率が向上

 

 岩手県内の医療現場で、急性心筋梗塞など心疾患の疑いのある患者の心電図データを救急車内から搬送先の病院に伝送する取り組みが広がっている。病院到着前に専門医が緊急治療の要否を判断したり治療の準備ができ、救命率向上や予後の改善に成果を上げている。二戸、宮古、久慈、釜石、気仙の5医療圏で運用体制が整い、他圏域でも順次導入が進む。関係者はノウハウや課題を共有し、全県への普及を目指している。

 救急隊が救急車内や現場で「12誘導心電図」をとり、データをタブレット端末などで搬送先の病院や循環器内科医へ送る仕組み。医師が患者到着前に治療方針の決定やスタッフを招集できる利点がある。従来は病院で検査し、心筋梗塞と判明してから専門医を呼び出したり、治療態勢を組むなど時間を要した。

 県内では県立二戸病院と二戸消防本部一戸分署が2014年3月から先行して取り組み、同年に紫波消防署と岩手医大循環器医療センターが運用を始めた。

© 株式会社岩手日報社