過去の改変が“なかったこと”に? 新アニメ『キン肉マン』アツすぎた初回放送…早くも「旧作全編リメイク希望する声も」

TVアニメ「『キン肉マン』完璧超人始祖編」正義超人キービジュアル(c)ゆでたまご/集英社・キン肉マン製作委員会

7月7日、『キン肉マン』(ゆでたまご 原作:嶋田隆司さん、作画:中井義則さん)約32年ぶりの新アニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』がついに始まった。

初回は『週刊少年ジャンプ』(集英社)時代の名シーンを振り返る“第0話”が放送されたのだが、素晴らしいクオリティに往年のファンが大歓喜。X(旧:Twitter)でもトレンド入りし、「旧作全部リメイクしてほしい!」という声が続出する大反響を見せている。

なにが『キン肉マン』ファンを熱狂させているのか。その秘密は、原作へのリスペクトにあると筆者は思っている。この記事では『キン肉マン 完璧超人始祖編』0話の激アツな魅力を検証していこう。

■ラーメンマンがブロッケンマンを真っ二つに! 旧アニメの改変を原作準拠に戻した

まず注目したいのが、旧アニメ版からの修正だ。80年代から90年代前半にかけて放送された旧アニメ版『キン肉マン』は原作改変がいくつか見られたが、今回の0話ではそれらが“なかったこと”になっており、原作に沿った描写にリメイクされていた。

たとえば、ラーメンマンVSブロッケンマンの試合だ。原作では、ラーメンマンがキャメルクラッチでブロッケンマンの体を真っ二つにする残虐ファイトで幕を閉じた。

だが旧アニメ版では、「ラーメンマンが麺棒でブロッケンマンを伸ばしてラーメンに仕立てて食べる」という、ものすごい改変がされていた。人の体を真っ二つに割る残酷さから規制が入ったのだろうか。当時の子どもたちは「逆に怖い」と震えていた。

一方、新アニメでは原作通りの展開が描かれている。キャメルクラッチをかけられたブロッケンマンの悲鳴と返り血を一身に浴びながら、彼の体を真っ二つにするラーメンマンの恐ろしさたるや……。

声優・関智一さんによる冷酷な高笑いも加わり、そのインパクトはすさまじいのひと言。「あの時は私も若かった」とラーメンマンは回想しているが、それで済ませていい怖さじゃないだろう……。

■“リキシマン”は“ウルフマン”に…旧アニメ版の細かい違和感を修正

原作準拠への再改変要素はまだまだある。超人相撲界の横綱・ウルフマンも本作で原作寄りに戻ったキャラのひとりだ。

旧アニメ版では“リキシマン”という名前に改変されていたのだが、本作では原作通りの“ウルフマン”の名で登場しているのがまずひとつ。「7人の悪魔超人編」での戦いも第0話内で回想として描かれ、スプリングマンの必殺技によって体がバラバラになる原作再現もされた。

旧アニメ版では全身の筋肉を破壊されて再起不能の生き地獄を味わったのだが、こうして並べるとどっちも嫌な負け方だ。

ほかにも旧アニメ版では青かったロビンマスクの鎧が原作準拠の白銀色になっているなど、ビジュアルも原作に沿ったものになっている。このようにファンでないと気づかないような細かいポイントまで原作準拠を意識しているのが、新アニメ版の特徴だといえるだろう。

昔のアニメも視聴したことのある筆者個人の意見だが、名前やビジュアルといった細かい差異を直してくれるのはとてもありがたい。ちょっとした違いも修正し、原作通りを徹底する。そんな新アニメの姿勢がひしひしと伝わってきた第0話だった。

■『キン肉マンGo Fight!』も熱唱! 新声優・宮野真守さんが完全にキン肉マンだった

アニメのリメイクで気になりがちな声優変更も、本作は大きな違和感がなかったように思う。とくに注目された主人公キン肉スグルの新声優・宮野真守さんは、その最たる例だ。

旧アニメの声優は神谷明さんだった。マヌケなギャグ声もシリアスなカッコいい声も華のあった神谷さんだが、宮野さんはあの特徴的な声に寄せていた印象がある。とくにギャグシーンでキン肉マンがビビるときの声は再現度が高く、SNSでも「パーフェクトだった」「神谷さんそっくりだった」との声があがった。

極めつけは、アニメ『キン肉マン』を象徴するテーマソング『キン肉マンGo Fight!』を宮野さんが歌うスペシャルなエンディング! 本家の串田アキラさんの力強さを意識したような熱唱には、「キン肉マンが宮野さんでよかった」と強く思わされた。

大人の事情もあったのであろう旧アニメの改変を、大小ともに原作通りにしようとしている新アニメからは「『キン肉マン』のアニメを令和に復活させるんだ!」という熱い魂を感じる。旧アニメでも好評だった声優や歌手の魂を継承しようとする意識も素晴らしく、嬉しい限りである。

スタッフやキャストの多大な『キン肉マン』愛が凝縮されていたからこそ、ダイジェストの第0話があれほど熱く、ファンから称賛されたのだ。原作の嶋田先生もリアルタイムで視聴していたらしく、本人のアカウントで「嬉しくてたまりません」と喜びをあらわにしていた。

『キン肉マン』へのリスペクトが詰まった『キン肉マン 完璧超人始祖編』。7月14日の次回放送からとうとう始まる第1話、そしてその先も見逃せない。

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