小池栄子・仲野太賀『新宿野戦病院』フジとクドカンとの微妙な相性 ごちゃごちゃ演出でほど遠い『ふてほど』

小池栄子(C)ピンズバNEWS

小池栄子(43)と仲野太賀(31)がダブル主演する連続ドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系/水曜よる10時)の第2話が、7月10日に放送される。3日放送の初回の平均世帯視聴率は、7.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)とまずまずの数字だったが、視聴者から厳しい意見が相次いだ。

同ドラマは、新宿区歌舞伎町の路地にひっそりと建つ「聖まごころ病院」を舞台に、“命”の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメント。脚本を担当する“クドカン”こと宮藤官九郎(53)は、今年1月期の『不適切にもほどがある!(ふてほど)』(TBS系)がヒット。さらに、13年ぶりのフジテレビ作品とあって話題だったがーー。

第1話は、「聖まごころ病院」の外科医不在の中、泥酔したヨウコ・ニシ・フリーマン(小池)が、NPO法人「Not Alone」の新宿エリア代表・南舞(橋本愛/28)に付き添われて搬送されてくる。彼女は海外医師免許があり、元アメリカ軍医として働いていたが、日本での医師免許がないため医療行為をすることができなかった。

後日、南から病院に電話が入り、銃で撃たれた男性・ムハマドを処置してほしいと懇願してきたが、美容皮膚科医・高峰享(仲野)は外科医がいないので対応できないと拒否。そこで南が、難民申請が通っていないムハマドは、他の病院に行くとそのまま強制送還されると訴えると、再度病院を訪れていたヨウコが、彼を病院に迎え入れて処置を始め……という展開。

岡山の方言とネイティブの英語を交えて享たちにまくしたてるヨウコをはじめ、登場するのはクセの強い人物ばかり。X(旧ツイッター)上では、《豪華キャスト集めて、爆笑も正論もツッコミも何もかもどんと来い!と言わんばかりの、愛すべき「雑な」ドラマ》など、コメディのりに社会問題を入れてくるクドカンらしさに称賛の声があったが、一方で批判も目についた。

■クドカン脚本の良さがいきていない?

批判的な意見としては《かなりとっちらかってるのを役者陣の力量でなんとか見れた》《クドカンなりの街に対する愛情はあるけど、そこで繰り広げられるエピソードがどれも倫理的にアウト》《クドカンドラマはTBSだと調和してるけど、フジにはフジの空気みたいなのがあって、ガチャガチャしてるのがスッと入れなかったな》などで、演出、構成に関するものが目立った。

「とっちらかるのはクドカンの脚本ならではですが、それでもエピソードをつなげてみると、物語に一体感が出てくるのが魅力です。しかし、本作はそれがなく、各エピソードを並べただけの印象で、ひたすらガチャガチャしている。おそらく脚本と演出の呼吸が合っていないんです」(ドラマライター/ヤマカワ)

クドカン脚本のドラマといえば、TBSの演出家・金子文紀氏とのタッグが有名だ。ヒット作となった『ふてほど』も、タイムスリップやコンプラ問題など、一見、ゴチャゴチャした描写をうまくまとめ、最後は親子関係という軸になるメッセージを提示していた。

「フジテレビのクドカンの前作『ロケット・ボーイ』(2001年)で演出を担当した、河毛俊作氏の熱烈オファーで再タッグが実現しましたが、なかなか“あ・うん”の呼吸になっていないのでしょう。回を重ねてこなれてくれば、それも解消されると思いますが、このままの状態が続くと、視聴率もジリ貧になりそうです」(前同)

トー横キッズ、ホスト、キャバ嬢、ホームレス、外国人難民など、歌舞伎町のリアルを描写する内容が話題となったが、本作はそれ以外のところでつまづきそうだ。次回も臼田あさ美(39)がトー横キッズの母親役に挑戦するなど、豪華ゲストが続々と登場するようだが、今後、どう変わっていくか注目したい。

© 株式会社双葉社