37年ぶりの“記録的円安”で材料費も高騰…カレーで「使ってはいけない食材」

(写真:shige hattori/PIXTA)

円安が止まらない──。

7月3日、東京外国為替市場で一時1ドル161円90銭台に。

1986年12月以来、約37年半ぶりの円安・ドル高水準となった。

「政府と日本銀行は4~5月にかけて、急激に進む円安を食い止めようと、大量にドルを売って円を買う市場介入を実施。総額約9兆7千800億円ほどを投じましたが焼け石に水で、円安阻止の効果は長続きせず、再び円安基調になりました。

円安の最大の理由は、日米の政策金利の差ですが、景気悪化を懸念して日本銀行も金利の引き上げには慎重姿勢を崩していません」(全国紙経済担当記者)

この歴史的な円安で影響を受けるのが多くの輸入品によって支えられている私たちの食生活だ。

ファイナンシャルプランナーで節約アドバイザーの丸山晴美さんが語る。

「円安になれば、輸入食材の価格は上がります。たとえば、輸入牛肉は国産牛より安いイメージがありますが、円安により価格は上昇し、価格差がほとんどない部位も出ています。

さらに石油や天然ガスなどのエネルギー資源のおよそ9割を海外に依存している日本では、食品の加工や流通にも影響し、あらゆる食料品が値上がりします」

円安に加えて、オリーブやオレンジ、コーヒー豆、カカオなど生産地の天候不順などによる原材料の不足も価格に影響を与えている。

■円安を筆頭にさまざまな要因が複雑に絡み合う

「また円安の影響で、海外産のタコやサーモンのように需要が拡大している中国や欧州などに高値で購入されて買い付けられない“買い負け”によって、さらに値が高騰している食材も少なくありません。円安を筆頭にさまざまな要因が絡み合って家計を直撃しているのです」(丸山さん、以下同)

輸入食材を買い控えたとしても円安の影響は国産の食材にも及んでいる。たとえば、家計の味方だった豚肉の高騰が続いている。

「今年1月の卸売平均価格から1kgあたり300円以上も値上がりしています。

酷暑だった昨年、暑さに弱い豚の成育が悪く、子作りにも影響したこと、さらに円安の影響で飼料価格が値上がりしたことが要因。今後も国産豚肉の価格が落ちつく気配はありません」

農林水産省が発表した、おもな野菜の7月の価格の見通しは、各地の天候不順の影響で、じゃがいも、にんじん、たまねぎが平年を上回る高値で推移している。

肉、にんじん、じゃがいも、たまねぎとくれば夏の定番食にしている家庭も多いカレーだ。

そこで4人分のカレーライスの材料費について市場卸売平均価格をもとに調査。その結果、1年前と比べると、すべての食材が値上がりし、材料費が1,000円超えに!

「円安による値上げを乗り切るポイントは、そのときに高い食材を無理して使わないことです。

カレーなら今の時季に手ごろな価格のなすやトマト、ズッキーニ、オクラなど夏野菜を使ったらどうでしょう。火が入りやすくて煮込む時間が短縮され、ガス代の節約にもなります。

また鶏むね肉は、この時季でも比較的価格が安定しています。少しでも値段が安い食材を組み合わせたり、特売品を活用したりして、上手にやりくりしたいものです」

米の価格は、九州産などの新米が出てくる8月ごろには価格も安定してくるようだ。

「円安が続く気配が強いため、食品の値上げはまだまだ続きます。また輸入に頼る飼料代が高騰し、国内産の牛肉や豚肉、鶏肉などの価格も上昇していくでしょう。さらに人件費や輸送費なども上がっており、それが価格に上乗せされます」

円安と猛暑が続く今年の夏は、いつも以上にお財布にも厳しくなりそうだ。

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