「これは魔法か…?」くたびれたウエアの撥水を5分で復活させる裏技がスゴイ。

→【画像】「おいおい、嘘だろ…」撥水が復活してる! 水弾きすぎ!

梅雨時期はもちろん、1年を通して着る機会の多いレンウェア。あなたがが普段着ているそのレインウェア、ちゃんと撥水できていますか? 元アウトドアショップ店長の安田ヒロキさんが、レインウェアが水を弾く特徴と、撥水性能を復活させる技をこっそりガッツリ教えちゃいます!

●文:ルアマガプラス編集部

撥水機能について教えてくれるのは元・アウトドアショップ店長のプロアングラー!

撥水と防水、その違いは〇〇

レインウェアを着る機会が多くなる梅雨時期、皆さんはしっかり手入れをしてますか?

レインウェアを濡れたまま放置しておくと、機能が低下したりカビの原因になることも。シーバスフィッシングのプロフェッショナルである安田ヒロキさんは、自身のルアーブランドであるレガーレを立ち上げる前はアウトドアショップの店長を長きに渡って勤めていた。その豊富な知識を活かして、今回はレインウェアの機能を復活させる裏技を紹介してもらった。

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「今回はレインウェアの洗い方、撥水の復活の仕方を紹介しますね。まず、撥水と防水という言葉がありますが、この違いってわかりますか? 撥水は、生地の表面に施されている水を弾くためのコーティングのことです。防水は、生地自体の防水性を表します。一般的なレンウェアは三層構造になっていて、表面生地、真ん中の透湿防水生地、裏地、という感じです。この中間の生地に防水性能があり、中に水を侵入させず、内側からの湿気を逃す、という仕組みになっています。雨の雫は通さない、でも湿気は通す穴がたくさん開いているという特性で、メンブレンとも呼ばれます。有名はGORE-TEXも同様の仕組みですよ。今回は、このレインウェアの表面生地の撥水コーティングの性能を回復させますよという話です」

「皆さんも雨の中釣りをしていて、レインウェアの表面が濡れてジトッとしてきた、でも中にまでは水は侵入してこない、ということはよくあると思います。それは、防水機能は維持してるけど、表面の撥水機能は落ちている、ということなんですね。やっぱりパリッと水を撥水してくれるほうが気持ちいいし、メンブレンも完全な防水ではないので、強い水圧がかかると水が侵入してくる。さらには、表面が水で濡れていると内側の蒸れも逃してくれなくなる」。

つまり、これがレインウェアの撥水性能が落ちた状態。

「レインウェアの表面の生地には細かい毛のようなものがたくさん立っていて、この上に水滴が乗った時にコロコロと弾いてくれる。この細かい毛(実際には毛ではないんですが・・・)のことを『撥水基』と呼んでいます。これが撥水の仕組みですね。

この撥水基は汚れたり擦れたりすることで毛が寝てしまう。そうすると水が玉にならないで、表面にベト〜っと張り付いてしまう。これが撥水性能が失われる原因です。また、この撥水基が取れてしまった状態も同様に撥水しなくなります。長年着ていたりするとよくありますね」。

寝てしまった撥水基はあることをすれば復活する!

では、この寝てしまった撥水基、どうやって復活させる?

「ひとつ目は簡単で、熱を与える。ドライヤーの熱でもいいし、乾燥機に入れてもいい。熱を与えると、寝てしまった撥水基が起き上がって復活するんですね。ドライヤーで髪の毛を乾かすとふんわりしますよね、それと同じです。レインウェアを乾燥機に入れてもいいの?って思われるかもしれませんが、OKです。ただし、乾燥機の一番弱い温度で、約5〜10分くらい回す。なぜかというと、裏地には布の縫い目から水が入らないようにシームテープというものが貼ってあるんですが、これは熱で貼ってあるので高温の熱を与え続けると剥がれてきてしまう。なので、弱い温度で回すことが重要なんです。コインランドリーだと100円で10分の乾燥機があったりするんで、これで弱いモードを選んで回せばOKです」

レインウェアは洗濯機でしっかり洗うこと!

続いて、レインウェアの選択について。そもそも、レインウェアって洗っていいの?

「むしろ洗わないとダメです! レインウェアも汚れます。外側は海水の塩、外気の汚れ、内側には人間の皮脂なども知らないうちに詰まっていたりもします。表も裏も汚れてしまっては、撥水性能も落ちるし、蒸れを逃す透湿性能も低下します。じゃあどうやって洗うのってことですが、僕が使ってるのはこれ。グランジャーズのパフォーマンスウォッシュとクロージングリペルです」

「レインウェアの洗剤はいろいろあるんですが、匂いがツンとしたり、独特の匂いがするものもある。でも、このグランジャーズは匂いが比較的しにくい。そして、環境にも優しい。なので、僕はこの商品を使っています。パフォーマンスウォッシュはレインウェアを洗う洗剤、クロージングリペルが撥水を復活させるものです。パフォーマンスウォッシュは、レインウェアの撥水機能を落とさないようにしつつ、汚れや皮脂を落としてくれる透湿防水ウェア専用の洗剤になっています」

ではこのレインウェア用の洗剤で、どのように洗っていく?

「使い方は普通の洗剤と一緒で、洗濯機に規定の量を入れて、いつも通り洗うだけです。ただ、脱水はしないでください。脱水機能は生地に負担がかかってしまうので。そして、洗い、すすぎ、排水が終わったら、ここでクロージングリペルを入れて、また洗いとすすぎをする。そして最後、乾燥機で5〜10分回し、弱い熱を与えることで、撥水基がしっかり立つんです」

家庭用の洗剤ではダメ?

「代用できますよ。ただ、柔軟剤や漂白剤は入れずに、液体の中性洗剤を使ってください。粉タイプはレインウェアの中に詰まってしまうのでNGです」

レインウェアがダメになる原因はまだまだある

表面の撥水性能が落ちる以外にも、水が内部に侵入しやすくなってしまうことはある・・・。

「それはシームテームが剥がれてしまっている場合。シームテープは、先ほど言った裏に生地の縫い目に貼ってあるもの。長年着用しているとどうしてもシームテープが剥がれてくることもある。ほとんどの場合、メーカーに問い合わせれば、有償にはなってきますが、このシームテープを補修することが可能です。あとは、フロントの防水のジッパー。ここも劣化してきて水が侵入してくることもある。これもメーカーに修理してもらえることが多いですよ」

「ここまでは生地表面の撥水の話でしたが、防水は復活させることができるの?と思われますが・・・、残念ながらこれはできないんです。この防水生地は、ちゃんと手入れをすれば5年、10年持ちますが、手入れを怠ると早くて2年ほどで防水性は失われます。そうすると、表面の撥水基を復活させても中に水が染みてくるということも起きてきます。こうなるともう買い換えないとダメですね。なので、レインウェアは定期的に洗ってメンテナンスするのが、長く着るコツです。今着ているレインウェア、最近水を弾かなくなったなって方、ぜひ参考にしてみてください!」

【写真】「これは魔法か…?」くたびれたウエアの撥水を5分で復活させる裏技がスゴイ。


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