小中学生のいる困窮世帯「短くてよい」「不要」が6割も…日本は夏休みに恐怖を覚える悲しい国に?

帰省や国内旅行ができるだけでも「かなり贅沢」レベルに…(C)日刊ゲンダイ

いろんな意味で暑苦しい子どもの夏休みが迫っているが、小中学生のいる困窮世帯の計60%が、夏休みについて「今より短い方がよい」または「なくてよい」と考えている──子どもの貧困や教育格差などの問題に取り組んでいる認定NPO法人「キッズドア」が先月公表した「子育て家庭アンケートレポート」の結果が話題になっていた。

「子どもが家にいることで生活費がかかる」「給食がなく、子どもの昼食を準備する手間や時間がかかる」「子どもに夏休みの特別な体験をさせる経済的な余裕がない」「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れない」ーー短縮か廃止を望む理由の上位4項目だ。わが子に楽しい夏休みを過ごさせてあげられるお金も時間もないというわけだ。

生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏は「それは困窮世帯に限った話でもないと思います。円安に物価高で、実質賃金も上がらず。多くの家庭にとって夏休みは恐怖でしかない」と話す。

主婦向けの情報メディア「SHUFUFU」(しんげん運営)の調査によると、夏休みの過ごし方(複数回答)は「自宅でゆっくり」がトップで、55%と過半数。「実家・義実家に帰省」(23%)、「国内旅行」(22%)がそれに続く。

都内に住む40代パート主婦は「九州にある実家に帰省するにしても、家族3人で往復10万円以上は軽くかかりますから。今年はやめておこうかなと。旅行なんてとてもとても……」と明かす。

ましてや円安。海外旅行なんて一部のセレブだけで、家でゆっくりというより、何もできないというのが本音だろう。

「東京23区では今年4月から小中学生の給食費が無償化されましたが、夏休みになれば当然、その分の食費がかかるわけです。お金がかからないからと自宅にこもっていると、子どもたちはスマホやゲームばかり。いかがなものかと外に連れ出してファミレスに入れば、たった1回で給食費の平均月額4500円近くかかることも。夏休みの短縮や廃止を望む気持ちはよく分かります」(前出の柏木理佳氏)

■子育て世代の旅行頻度は二分化

子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」(アクトインディ運営)の調査によると、子育て世代の旅行頻度は、コロナ前や昨今の物価高前と比べて、「変わらない」が約4割、「減った」「行かないようになった」も約4割と、二分化しているという。

「今年の夏休みは無料で涼しい図書館が家族連れでごった返すかも」(前出の40代パート主婦)

日本は夏休みが怖い国になってしまった。

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